イノベーションは複雑さを解きほぐした“交点”から生まれる:PLMニュース
シーメンスPLMソフトウェアは年次ユーザーイベント「Siemens PLM Connection Japan 2014」を開催。米国Siemens PLM Software 社長兼CEOのチャック・グラインドスタッフ氏が登壇し、製造業を取り巻く環境の変化と同社の取り組みについて説明した。
シーメンスPLMソフトウェアは2014年5月29日、ユーザーイベント「Siemens PLM Connection Japan 2014」を開催。同イベントの基調講演として、米国Siemens PLM Software 社長兼CEOのチャック・グラインドスタッフ(Chuck Grindstaff)氏が登壇し、製造業を取り巻く環境の変化と同社の取り組みについて紹介した。
グラインドスタッフ氏は「世界中の経済が製造業に回帰し、投資を増やす動きが広がっている」と製造業を取り巻く環境の変化を指摘する。日本の他、ドイツ、米国、中国などで政府が製造業を支援する政策を実行しており「新たなモノづくりの姿」を模索する動きが続いている。
ドイツでは「インダストリー4.0」プロジェクトとして、ハードウェアとサイバー環境を融合した新たなモノづくりを目指す動きが本格化している。また米国でもDigital Manufacturing and Design Innovation Institute(DMDI)として、積層造形技術や材料の研究を行うなど、各地で動きが活発化している(関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】)。
「なぜ、多くの国家が製造業への投資を拡大しているのか。それは製造業が経済の乗数効果をもたらすからだ」とグラインドスタッフ氏は語る。製造業を振興することで、実際の最終製品だけでなく、部品メーカー、製造機器メーカー、材料メーカーなど非常に幅広い企業群の振興につながる。加えて、それらの製品を消費者に届けることで消費の振興にもつながり、国家全体で大きな経済効果を得られる。そのため各国政府は製造業への投資を活発化しているという流れだ。
イノベーションを生む“交点”
ただ、消費の振興にまでつながる乗数効果をもたらすには革新的な製品が欠かせない。製造業にとって「イノベーションをどう起こすか」はここ最近の大きなテーマとなっており、より早くより多くの革新的製品を生み出すことが求められている。イノベーションの切り口には、コストや市場、タイミングや環境問題、品質などさまざまな要素が考えられるが、グラインドスタッフ氏は「重要なのはどのようにそれを実現するかだ」と述べる。
「イノベーションは、産業分野や市場、技術などの“交点”で生まれる。また組織的にイノベーションを生み出すには、人材、プロセス、製品を密接に組み合わせることが重要になる。そこには難解な複雑性が存在し、複合的な意思決定が必要になる。しかし、だからこそこの複雑性を解決し、円滑な意思決定ができるようになれば、競争優位を実現できる。PLMはこれを解決するツールだ」とグラインドスタッフ氏はPLMの価値を語る。
さらに「イノベーションを加速させるという点にPLMの発展的な使い方があると考えている」とグラインドスタッフ氏は強調する。例えば現在設計・開発分野におけるモデルベース開発の採用が進んでいるが、さらにこれらの適用範囲を広げ、システム駆動型の製品開発や次世代型の製造システムなどを実現することで最終的にモノづくりに関連する企業の運営そのものをモデルベース化し最適化を図る「モデルベースエンタープライズ」を目指すという。
また、これらを実現する要素の1つとして「システム駆動型の製品開発」を挙げた。システム駆動型製品開発は、まず目標を設定し、モデルを作成して、シミュレーションを行う。その結果に対して、PLMだけでなく基幹システムなど他のシステムからの情報を集めて、フィルターなどにより影響度を想定する。そして意思決定者に届け、意思決定を行うという仕組みだ。グラインドスタッフ氏は「製品とビジネスの影響度をより密接に関連させて各種の判断ができるようにする。変化がもたらす全体像を確認できる」と価値を説明している。
イノベーションを組織でどう起こすのか――「イノベーション」コーナーへ
イノベーションを生む方法論とは?
グローバル化により変化と競争が激化する中、製造業には自ら新しい価値を生み出すイノベーションを持続的に生み出すことが求められています。既存の価値観を破壊する「イノベーション」を組織として生み出すにはどうすればいいのでしょうか。「イノベーションのレシピ」特集では、成功企業や識者による事例を紹介しています。併せてご覧ください。
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