富士通産レタスが出荷開始! ――半導体クリーンルームで生産:製造マネジメントニュース
“富士通産のレタス”の出荷が開始された。富士通は、富士通セミコンダクター会津若松工場で半導体クリーンルームの一部を植物工場とし、低カリウムレタスの生産に乗り出している。
富士通は2014年5月7日、同社の半導体工場クリーンルームを転用した植物工場「会津若松Akisaiやさい工場」において生産された低カリウムレタスを発売したことを発表した(関連記事:レタスを作る半導体工場!? 植物工場は製造業を救う切り札になるのか)。
植物工場とは、施設内でLED照明や空調、二酸化炭素、水分や肥料などを人工的に制御し、季節や外部環境に影響されずに農作物を生産できるシステムのこと。太陽光を利用するものと完全に閉鎖した空間で行うものがある。今回富士通が採用した完全閉鎖型は、自然環境に左右されない安定した環境を作り出すため、1年中安定した生産が可能な他、農地以外でも設置可能な点や、無農薬生産が可能である点など、多くの利点がある。一方で、初期投資、運営投資ともに大きくなる他、栽培ノウハウが今は限定的であるなどの課題があるといわれている(関連記事:野菜の工場生産本格稼働へ――成否のカギは出口戦略と製造マネジメント)。
同社は、2013年7月に富士通セミコンダクター会津若松工場で休止していた半導体生産用のクリーンルームを転用した植物工場を設立することを発表(関連記事:富士通が野菜を作る!? ――半導体のクリーンルームを転用した植物工場を設立)。その後、2013年10月から設備導入などを行い、2014年2月から実際に生産を開始していた。
富士通の取り組みがユニークなのは、富士通自らが野菜の販売に乗り出したということだ。富士通ホーム&オフィスサービスにおいて、工場の運営から販売までに取り組み、販路開拓などを進めている。
富士通が生産するレタスは、腎臓病患者などに向けて含有カリウム量を抑えた低カリウムレタス。クリーンルーム環境を生かし、雑菌の混入を抑えるとともに育成環境をコントロールできることで、量産を実現したという。同社ではクリーンルームで生産する野菜を「キレイヤサイ」シリーズとしてブランド化し、販売していく。今回の「キレイヤサイ」低カリウムレタスは、価格は450〜500円で、販売先としては、病院や老人ホームなどを中心に営業活動を行っている。初出荷先としては、地元の福島県会津若松市の竹田総合病院やくつろぎ宿、福島県喜多方市のコープあいづ、東京都八王子市の九州屋ビーンズ武蔵中原店などがあるという。
生産能力としては、毎日1800株の出荷を計画中だという。最大で毎日3500株の出荷を計画する。今後はさらに低カリウムレタス以外の野菜の生産なども検討。2014年度(2014年4月〜2015年3月)は売上高1.5憶円、3年目の2016年度(2016年4月〜2017年3月)には売上高4.0億円を目指すとしている。
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