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NECがA123システムズの蓄電システム事業を買収、入札で負けた中国企業から電気自動車

NECは、中国の大手自動車部品メーカーである万向集団(Wanxiang Group)の傘下にあるリチウムイオン電池メーカー・A123 Systems(A123システムズ)の蓄電システム事業を約1億米ドルで買収する。NECと万向集団は2012年12月、A123システムの資産売却入札で競合。万向集団が落札したという経緯があった。

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NECがA123システムズの蓄電システム事業を買収

 NECは2014年3月24日、中国の大手自動車部品メーカーである万向集団(Wanxiang Group)の傘下にあるリチウムイオン電池メーカー・A123 Systems(A123システムズ)の電力会社向けおよび企業向け大規模/大容量蓄電システムのシステムインテグレーション(SI)事業部門(A123 Energy Solutions)を買収すると発表した。NECが中期経営計画の注力領域とするスマートエネルギー事業の中核となる蓄電システム事業を強化するのが狙い。買収価格は約1億米ドル。

⇒NECが会見で説明した買収の詳細はこちら

 NECは、同社のスマートエネルギー事業とA123 Energy Solutionsを統合し、2014年6月から新会社「NEC エナジーソリューションズ」の下で新たに事業を開始する計画である。今回の買収によって、NECは電力会社向け蓄電システム事業の規模で世界トップクラスになる。また、顧客のニーズにあったシステムを構築するA123 Energy Solutionsの蓄電SI力と、NECのICTにおけるグローバルかつ総合的なSI力やリチウムイオン電池のコスト競争力を組み合わせることで、蓄電システム事業を強化できるとしている。

 さらに、A123 Energy Solutionsが持つ電力会社および企業の顧客基盤と、NECの通信事業者、企業、官公庁などの顧客基盤を融合することにより、スマートエネルギー事業の広範かつグローバルな展開を強力に推進できるようになるとしている。

 A123 Energy Solutionsは、A123システムズ独自のオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)ベースの正極材料「Nanophosphate」を使ったリチウムイオン電池や、蓄電技術/制御/設備を含めたパッケージ提供で実績のある電力会社向け蓄電システム「Grid Storage Solution(GSS)」によるSI技術、および顧客の課題を解決する優れたシステム提案力が特徴。世界で11社、出力で110MW以上となる世界トップクラスのシステム納入実績も有している。

 今回の買収に合わせて、中国市場の大規模蓄電システム事業の展開を加速させるため、万向集団と共同で企画合弁会社を設立することも明らかになった。

A123システムズの資産売却入札で競合

 A123システムズは、2012年10月に連邦破産法11条の適用を申請。同年12月に行われた同社の資産売却の入札で、NECと万向集団は競合し、最終的には万向集団が2億5660万米ドルで落札している(関連記事:破綻した米国電池ベンチャーは中国企業が落札、米国企業とNECは競り負ける)。

 NECはこの資産売却の入札で、米国自動車部品大手のJohnson Controls(ジョンソンコントロールズ)と協力している。ジョンソンコントロールズは、車載向けと米国政府向け事業を、NECがスマートグリッド向けと民生向け事業をそれぞれ買収することになっていた。

 万向集団は2014年2月、A123システムズの電池を採用していた米国のプラグインハイブリッド車(PHEV)ベンチャーFisker Automotive(フィスカー)を傘下に収めている(関連記事:米国グリーン・ニューディールの成果は中国企業の下へ、PHEVベンチャーも買収)。フィスカーの再生に向けて、A123システムズの車載向け事業は必須であるものの、NECが求めていたスマートグリッド向けや民生向けの事業は不要だった。万向集団は、A123 Energy SolutionsをNECに売却することで、1億4920万米ドルに達するフィスカーの買収費用の穴埋めも可能になる。

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