米国グリーン・ニューディールの成果は中国企業の下へ、PHEVベンチャーも買収:電気自動車
プラグインハイブリッド車(PHEV)「カルマ」を展開する米国のベンチャー企業Fisker Automotive(フィスカー)を、中国の大手自動車部品メーカーである万向集団(Wanxiang Group)が買収することになったと複数の米国メディアが報じている。
プラグインハイブリッド車(PHEV)「Karma(カルマ)」を展開する米国のベンチャー企業Fisker Automotive(フィスカー)を、中国の大手自動車部品メーカーである万向集団(Wanxiang Group)が買収することになったと複数の米国メディアが報じている。
フィスカーは2013年11月、米国の投資グループHybrid Tech Holdings(以下、Hybrid Tech)に全ての資産を売却する方針を発表していた(関連記事:プラグインハイブリッド車「カルマ」の米フィスカーが破産申請、投資会社が買収)。この資産売却では、米国エネルギー省(DOE)が保有する約1億6800万米ドル(約170億円)相当のフィスカー向けのローン債権を引き取ることを条件に付加していたものの、売却額は2500万米ドル(約25億円)に過ぎなかった。このため他の債権者が同意せず、2014年2月に万向集団とHybrid Techの間でフィスカーの資産売却入札を行うことが決まっていた。
万向集団はHybrid Techとの間で、3日間にわたって19回もの応札を繰り返し、フィスカーの資産を1億4920万米ドル(約151億円)で落札した。デラウェア州の連邦破産裁判所は同年2月18日に承認手続きを行うとしている。
「カルマ」は電池を含めて万向集団が集約
フィスカーのカルマは、米国ベンチャーのA123 Systems(A123システムズ)製のリチウムイオン電池を搭載していたことで知られている。しかし、カルマが起こした出火事故やリコールによる不具合対応などのコスト増によりA123システムズは破産。このA123システムズを2012年12月に買収したのが万向集団である(関連記事:破綻した米国電池ベンチャーは中国企業が落札、米国企業とNECは競り負ける)。
フィスカー、A123システムズとも、米国大統領のバラク・オバマ氏が推進していたグリーン・ニューディール政策の一環でDOEから助成金を得ていた。今回の買収によって、グリーン・ニューディール政策の代表例でもあったカルマは、電池を含めて中国企業の下に集約されることになる。
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