プラグインハイブリッド車「カルマ」の米フィスカーが破産申請、投資会社が買収:電気自動車
プラグインハイブリッド車「Karma(カルマ)」を展開する米国のベンチャー企業Fisker Automotive(フィスカー)は、投資グループのHybrid Tech Holdingsによる買収と、連邦破産法11条の適用申請を発表した。
プラグインハイブリッド車(PHEV)「Karma(カルマ)」を展開する米国のベンチャー企業Fisker Automotive(フィスカー)は2013年11月22日(米国時間)、米国の投資グループHybrid Tech Holdingsに全ての資産を売却すると発表した。
Hybrid Tech Holdingsによるフィスカーの買収は、米国エネルギー省が保有する約1億7000万米ドル(約173億円)相当のフィスカー向けのローン債権を引き取ることが条件になっている。フィスカーは、買収プロセスを進めるために連邦破産法11条の適用も申請した。Hybrid Tech Holdingsは、フィスカーの破産申請に合わせて、8000万米ドル(約81億円)のDIPファイナンス(法的整理下にある企業向けの短期融資)を用意しているという。
フィスカーのCRO(Chief Restructuring Officer)を務めるMarc Beilinson氏は、「Hybrid Tech Holdingsへの売却こそ、フィスカーの価値を最大化する最善の手段だ」と述べている。
「カルマ」の出火事故が発端に
フィスカーは、米国大統領のバラク・オバマ氏が推進していたグリーン・ニューディール政策の一環でDOEから助成金を得ている。同政策から助成金を受けていた、電気自動車やプラグインハイブリッド車に関連するベンチャー企業の破綻が相次いでいる。
2012年1月にリチウムイオン電池メーカーのEner1が破産した後、フィスカーのカルマにリチウムイオン電池を供給していたA123 Systemsが2012年10月に破産している。A123 Systemsの破産は、カルマの出火事故やリコールなどによる不具合対応のためのコスト増加も大きな要因の1つに挙げられている(関連記事:グリーン・ニューディールは失敗? 米車載リチウムイオン電池ベンチャーが倒産)。
そして、A123 Systemsの破綻によってリチウムイオン電池の供給が滞ったため、フィスカーはカルマの生産中止に追い込まれた。2103年4月には、全社員の75%に当たる約160人の解雇を発表するなど資産売却のための準備を始めていた(関連記事:PHEVベンチャーのフィスカーが全社員の75%を解雇、破産準備へ)。
この他、2013年5月には、電気自動車ベンチャーのCODA Automotiveが破綻している(関連記事:氷河期を迎える米国EVベンチャー、CODA Automotiveが経営破綻)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ベタープレイス破綻で電気自動車の発展は遠のくのか
バッテリー交換方式の電気自動車(EV)を提唱していたBetter Place(ベタープレイス)が、裁判所に会社の解散と清算を申し出た。日本国内で華々しい実証試験を行うなど一時話題となった同社だが、何が原因でこのような事態に陥ったのだろうか。さらに、バッテリー交換方式EVの持つ課題は何なのか、ベタープレイスに代表されるEVベンチャーの破綻によってEVの発展は遠のくのか、考察してみたい。 - グリーン・ニューディールは失敗? 米車載リチウムイオン電池ベンチャーが倒産
車載リチウムイオン電池ベンチャーのA123 Systemsが、連邦破産法11条の適用を申請した。同社の自動車関連事業は、米国の大手自動車部品メーカーJohnson Controls(ジョンソンコントロールズ)に1億2500万米ドル(約99億2000万円)で売却される。A123 Systemsは、グリーン・ニューディール政策の一環で、米国エネルギー省の助成金を受けていた企業である。 - 米国が目指すEVの普及、100万台構想は実現できるのか(前編)
オバマ米大統領は2011年3月30日に「エネルギー政策の未来図」と題した計画書を紹介し、米国のガソリン輸入量を10年間で1/3削減する他、連邦政府の購入する自動車を電気自動車などに切り替える計画を明らかにした。これは同大統領がうたう「電気自動車100万台構想」の一環である。米政府が電気自動車を石油社会から脱却する取り組みの1つとして捉えていることが分かる。