破綻した米国電池ベンチャーは中国企業が落札、米国企業とNECは競り負ける:電気自動車
経営破綻した米国のリチウムイオン電池ベンチャー・A123 Systemsの資産売却において、中国の大手自動車部品メーカー・万向集団が2億5660万米ドル(約210億円)で落札した。協力して入札に臨んだ、米国自動車部品大手のJohnson ControlsとNECは、万向集団の提示額に及ばなかった。
2012年10月に連邦破産法11条の適用を申請した、米国のリチウムイオン電池ベンチャー・A123 Systems(A123システムズ)。同社の資産売却のための入札が同年12月6日(米国時間)に実施され、中国の大手自動車部品メーカーである万向集団(Wanxiang Group)が、2億5660万米ドル(約210億円)で落札した。
米国自動車部品大手のJohnson Controls(ジョンソンコントロールズ)とNECも、ジョンソンコントロールズが車載向けと米国政府向け事業を、NECがスマートグリッド向けと民生向け事業をそれぞれ買収する形で協力して入札に参加していたが、万向集団の提示額には及ばなかった。
A123システムズと万向集団の契約には、ミシガン州を拠点とする米国防衛省向けの事業は含まれていない。同事業は、イリノイ州を拠点とするNavitas Systemsが225万米ドル(約1億8400万円)で買収する。
A123システムズは、12月11日にデラウェア州の連邦破産裁判所で資産売却の承認申し立てを行う予定である。ただし、万向集団への資産売却は、米国の外国投資委員会(CFIUS)と米国政府の承認も必要となる。
売却先が二転三転
2012年に入ってから資金繰りの悪化が表面化したA123システムズは、同年8月に、万向集団から最大4億5000万米ドル(約368億3000万円)の出資を受け、同社の傘下に入る方針を発表(関連記事1)。しかし、米国政府から2億4900万米ドル(約203億8000万円)の助成金を受けているA123システムズが、中国企業の傘下に入ることへの反対が相次いだ。
A123システムズは同年10月、連邦破産法11条の適用を申請した(関連記事2)。併せて、ジョンソンコントロールズに車載向け事業を1億2500万米ドル(約102億3000万円)で売却するとともに、万向集団との契約を撤回する方針を表明していた。
しかし、今回のA123システムズの資産売却では万向集団が落札することとなった。このため、米国内での反対意見が再び強まるとみられ、外国投資委員会や米国政府による承認が得られない可能性もある。
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