豪州の自動車生産が全滅へ――最後の砦・トヨタも2017年に撤退:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車は、2017年末までにオーストラリアでの車両・エンジンの生産を中止すると発表した。この撤退によりオーストラリアでは自動車を生産する企業はなくなることになる。
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は2014年2月10日、2017年末までにオーストラリアでの車両・エンジンの生産を中止することを発表した。オーストラリアからの自動車生産撤退は米ゼネラル・モーターズ(以下、GM)が2013年12月に発表しており、最後に残されたトヨタ自動車の動向に注目が集まっていた。
トヨタが今回発表したのはオーストラリアの生産・販売事業体であるToyota Motor Corporation Australia(以下、TMCA)での車両とエンジンの生産の中止。生産中止後、TMCAは販売会社として活動を継続する。
TMCAは1959年に設立され、カムリやカムリハイブリッド、オーリオンなどの生産を行ってきた。生産撤退の理由としてトヨタでは「厳しい市場環境や豪ドル高の他、今後、オーストラリア自動車産業全体において生産規模の縮小が見込まれること」を挙げている。
オーストラリアでは、自動車メーカーの生産撤退が相次いでおり、2013年12月にはGMが2017年末での生産撤退を発表したばかり。それ以前では米フォードモーター(以下、フォード)も2016年10月までにオーストラリア2工場を閉鎖すると発表した他、2008年には三菱自動車が現地生産から撤退している。今回のトヨタの撤退発表によりオーストラリアで現地生産する自動車メーカーはなくなることになる。
また、オーストラリアの開発拠点であるToyota Technical Center Asia Pacific Australia Pty(以下、TTCAP-AU)についても、適正なサイズに事業規模を縮小する方向で検討するという。TMCA、TTCAP-AUの両社の従業員数は合計で約4千人となっているが、今回の決定により影響を受ける見込みの従業員については、再就職支援などを実施していくという。
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