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製造ITのクラウド化が加速、ベンダー各社が製品を積極投入ものづくり支援ソフトウェア製品レポート(1/2 ページ)

エンタープライズITに比べ、クラウド活用があまり進んでいなかった製造現場のITだが、クラウド化が加速してきた。CADなどで設計データを共有するために採用するケースや、海外拠点進出時に早期にシステム提供ができる点などが評価を受けつつある。

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 製造ITでも2014年はようやくクラウド化の波が本格化しそうだ。エンタープライズITでは、クラウド、ソーシャル、モバイルなどへの対応の動きは本格化し、これらに伴うオープン化の動きが加速している。

 一方で、CADや製造系ERPなどの製造IT分野では、まだ始まったばかりだ。

 クラウド活用には一般的に「初期投資額の抑制」「IT管理費用の抑制」「新規システム構築の短期化」「遠隔地からのアクセス性(データ共有)」などの利点があるといわれている。一方で、常にネットワーク接続を行うため「パフォーマンスの安定性」「セキュリティリスク」などの問題があるとされ、製造現場ではこれらの問題に対する抵抗感が強く残っていた。

 しかしここ1、2年で、ベンダー各社がクラウド向け製品ラインアップの強化を加速させている。これらの動きを受け、徐々に製造現場でもクラウドを活用する動きが広がってきそうだ。


CADでもクラウド化の動きが本格化

 米Autodeskでは、2013年6月からクラウドベースの3次元CAD「Autodesk Fusion 360」を提供。CADベンダーの中でも積極的にクラウド化を推進する方針を示している。米Autodesk社長兼CEO(最高経営責任者)のカール・バス(Carl Bass)氏は「クラウド、ソーシャル、モバイルへの対応は避けられないものだと考えている。これらへの移行は必ず進んでいく。そのため、これらへの対応は積極的に進めていかなければならない」と強調する(関連記事:「クラウド・ソーシャル・モバイルへの対応は必須だ」――オートデスクCEO)。

 日系製造業では、CADデータをクラウド環境に移行することに対しセキュリティ面での強い抵抗感が残っているが、その考え方に対し同氏は「その考え方は明確に間違いだと言いたい。リスクに対する考え方の問題だ。例えば銀行にお金を預けているより、家のマットの下にお金を隠している方が安全なのか、という問題と同じだ」と述べ、同社の全てのデスクトップ製品をクラウドでも提供していく考えを示している。

 また、米ダッソー・システムズ・ソリッドワークスは2014年1月26日(米国時間)、同社のプライベートイベント「SolidWorks World 2014」で、クラウドベースの構想設計ツール「SolidWorks Mechanical Conceptual」を発表した。Mechanical Conceptualは、ポンチ絵や2次元CADで描くのと同様の感覚で、3次元モデルを作成できることに加え、そのモデルをクラウド上で共有できる点が最大の特徴だ。例えば、離れた場所にいる設計者や顧客企業が、Mechanical Conceptual上で構想設計のモデルを共有し、チャット機能を使ってリアルタイムで構想を変更したり、新しい構想を追加することなどをクラウド活用の利点として紹介している(関連記事:「設計を抜本的に変える」、クラウド利用で構想設計をもっと自由に)。

設計データを共有する利点

 設計・製造データの管理を行うPLM(製品ライフサイクル管理)やPDM(製品データ管理)でも、クラウド化の動きは広がりを見せている。

 NECは2013年12月にクラウド型のPLMサービス「Obbligato for SaaS」を、タイの現地法人「NECタイ」を通じて販売することを発表した(関連記事:NECがクラウド型PLM「Obbligato for SaaS」をタイで展開)。設計変更の現地対応や製品の現地仕様への対応などを行う一方で、初期投資の負担が小さく短期導入ができるクラウドサービスでPLMを提供することで、新たなニーズを掘り起こしていく方針だという。

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