オートデスク、クラウドベースCAMへの参入を発表:Autodesk University 2013
米Autodeskは、クラウドベースのCAMサービス「Autodesk CAM360」を同社のユーザー向けイベント「Autodesk University 2013」で発表した。同社のCAMパッケージ製品の提供は初めて。
米Autodeskは2013年12月3日(現地時間)、同日から開催されている同社ユーザー向けイベント「Autodesk University 2013」(米国ラスベガス、会期2013年12月3〜5日)で、クラウドベースのCAM(コンピュータ支援製造)サービス「Autodesk CAM360」(以下、CAM360)の提供を発表した。同社がCAMパッケージ製品を提供するのは初めてで、本格的なCAM分野への参入となる。提供開始時期は2014年中としている。
『過去のAutodesk University』の関連記事: | |
---|---|
⇒ | なぜクラウド製品やコンシューマ向け製品に取り組むのか |
⇒ | 3次元CADをクラウドで提供。ライセンス料「使いたい期間だけ」 |
⇒ | クラウドベースPLMとオープンな製品開発の行方は |
⇒ | いよいよデータ管理が一般化するのか!? |
HSMWorksの買収
Autodeskは2012年10月にデンマークのCAMソフトウェア企業である「HSMWorks」を買収しており、今回のCAMサービスには同社の技術が活用されているという(関連記事:なぜクラウド製品やコンシューマ向け製品に取り組むのか)。
Autodesk マニュファクチャリングエンジニアリング担当シニアディレクターのカール・ホワイト(Carl White)氏は「HSMWorksの買収は、われわれのビジネスモデルを実現するにおいて非常に重要な要素だ」と語っている。一方で、同社は2013年11月7日に英国のCAMベンダーのDelcamの買収も発表しているが、この件については「まだ何も答えることができない」(ホワイト氏)としていた。
CAM 360は、このHSMWorksの技術を改良した他、クラウド型での提供を実現したCAMだ。HSMWorksはSolidworksへの対応のみであったが、Autodeskの3次元CAD「Autodesk Inventor」にも対応するという。
クラウド型で、デスクトップ環境でCAMアプリケーションを利用するよりも、高度な演算処理能力を確保できることから、迅速に加工ツールパスの計算を行うことができることが利点だとしている。また、あらゆるプラットフォームでCNCプログラミングを実行できることも特徴だ。
AutodeskのCAM担当プロダクトマネジャーであるアンソニー・グレイブス(Anthony Graves)氏は「CAMをクラウドで提供する意味として、プラットフォームとして統合できるという価値がある他、クラウドはいつでもどこでも誰でもアクセス可能で、新たなコラボレーションを実現できる」と話している。
CAM 360 はBeta版が2013年12月16日に提供開始。「Autodesk CAM Solutions(http://cam.autodesk.com/)からダウンロードできるという。
クラウドサービスのポートフォリオを強化
Autodesk デザインライフサイクル&シミュレーション担当SVPのバズ・クロス(Buzz Kross)氏は「360シリーズを中心にクラウドサービスの拡充を進めている。今回は新たにCAMの提供を開始する」と話している。
同社はクラウドサービスの強化を方針と掲げており、今回のサービスも3次元CADクラウド サービス「Autodesk Fusion 360」(英語版のみで評価版を提供中)のデータを活用できる。同社では「Autodesk PLM 360」「Autodesk Sim 360」などを製造業向けのクラウドサービスとして提供しており、クラウド上でのポートフォリオの拡充をさらに進めていく方針だ。
関連記事
- なぜクラウド製品やコンシューマ向け製品に取り組むのか
CADツール「AutoCAD」などプロフェッショナルツールで長年知られてきたAutodeskは、クラウドシステムやコンシューマ向けツールに力を入れている。その現状や理由について、同社の経営幹部らが述べた。 - 3次元CADをクラウドで提供。ライセンス料「使いたい期間だけ」
クラウド型統合3次元CAD「Autodesk Fusion 360」は、さまざまなCADのネイティブデータが扱え、ダイレクト・パラメトリック両方の手法を利用できる。ライセンス料は利用期間に応じて課金されるとのこと。 - 第16回 CAD/CAM業界標準フォーマット
実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第16回は、プリント基板を設計するのに必須となったCADツールと、その標準データフォーマット策定の取り組みについて解説する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.