なぜクラウド製品やコンシューマ向け製品に取り組むのか:米Autodeskの記者発表会(2/2 ページ)
CADツール「AutoCAD」などプロフェッショナルツールで長年知られてきたAutodeskは、クラウドシステムやコンシューマ向けツールに力を入れている。その現状や理由について、同社の経営幹部らが述べた。
コンシューマ向けビジネスの現状
米Autodesk コンシューマ製品担当ディレクタ マリー・ホープ・マクイストン(Mary Hope McQuiston)氏は、まさに担当分野であるコンシューマ向けツールやサービスの動向の他、ビジネスについても語った。同社が提供する無償3次元CAD「Autodesk 123D」は、このカテゴリーとなる。
米国では「個人でデザインし、モノを作る」、いわゆる「パーソナル・ファブリケーション」サービスに人気が集まる。世の中の消費者は、個人でデザインするだけではなく「物を製作する」という行為に回帰しているとマクイストン氏は述べた。その中には、個人で家電を作ろうという動きも見られる。そうした動きは、従来のメーカーのビジネスや開発のセオリーを大きく変えることへもつながる。同社はそうした動向に目を向けてきた。
同社は2012年8月に動画・写真コミュニティ・アプリケーション「SocialCAM」の開発元SocialCAM(製品と同名)を6000万ドルで買収。この件も、同社のコンシューマ向けビジネスのため。将来は、Autodeskのサービスで個人が作った作品を公開したり、コミュニケーションの場を提供したりする役割を担う。
同社のコンシューマ分野における収入源は、「コンシューマ向けアプリケーションダウンロードや3次元プリントサービス事業との連携など」とマクイストン氏。マネタイズについて短期的にいえば、広告宣伝効果を意図しており、できるだけ多くの人と接触を図り、その結果、同社のマーケットを拡大することが狙いということだ。「Autodeskが以前からターゲットにしてきたプロユーザー(設計者など)も、コンシューマである」とマクイストン氏は述べている。コンシューマ向け製品が、同社が長年取り組んできたプロツールへの関心・導入へとつながるきっかけにもなるとも考える。
Autodesk 123Dに、CNCの機能まで!
米Autodeskは2012年10月にデンマークのCAMソフトウェア開発元のHSMWorksを買収した。このツールの機能は将来、同社のクラウドサービス上でも提供される計画だ。米Autodesk 社長兼CEO カール・バス(Carl Bass)氏は、日本人記者向けの質疑応答イベントで、無償の模型製作支援ツール「Autodesk 123D Make」にHSMWorksの基本的なCNC(コンピュータ数値制御)機能のほんの一部を実装していると説明した。
「コンシューマ製品ユーザー数は、業務用製品ユーザー数と比べて、はるかに多い。Autodesk 123Dやパーソナル・ファブリケーション関連のサービス連携の提供が、多くの新しいユーザーを獲得するきっかけになっていると考えている。今後、従来のプロフェッショナルツールをシンプルに使えるようにする形で提供していく」(バス氏)。
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