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ダイダイダイレクト祭! その2「Inventor Fusion」3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(13)(1/2 ページ)

さまざまなCADのダイレクト編集機能をレビューする企画の2回目。Inventor FusionはCADのように見えるが、CADではない。では、一体何なの?

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 「ダイダイダイレクト祭!」ということで前回紹介したのは「Solid Edge」で、キーワードは「シンクロナス・テクノロジ」でした。

 今回はオートデスクの「Autodesk Inventor」(以下、Inventor)です。そうとくれば、キーワードは「Fusion」。実はMONOistの私の記事で、CADを幾つか取り上げてきていますが、直近の古巣だったオートデスクのInventorを取り上げてもいなければ、触ってもいなかったことに気が付きました……。

 というわけで、今回はアップデートも兼ねていろいろとお伺いすることにしたのです。

 今回説明してくれたのは、Inventorを担当しているオートデスクのエンジニア 中山圭二氏(テクニカルスペシャリスト本部 製造ソリューション デジタルエンジニアリング プロダクト スペシャリスト)です。オートデスク時代は中山氏と一緒に仕事をしていたこともあって、普段着で気楽に出かけていきました。

 しかし中山氏は、何とスーツで現れたので……、思わず「今日はどこかへお出かけでしたか?」と気軽に聞いてみたら、「え? 水野さんが取材でいらっしゃるから、ちゃんとした格好で来たんですよ」――すみません、大変失礼しました……。

 ……そんなところで、そろそろ話を先に進めましょう。

「Fusion」はプロセス間をつなぐ接着剤!?

 で、「『Fusion』とはなんぞや?」。一言でいうと「断絶している、製品開発プロセスをつなぐコネクタ」ということで、「別に、CADではない」、ということです。

 え? 「もっと話がややこしくなった」って? じゃあ、もっとかみ砕いてお話ししましょう。

  いまでは簡単に「Fusion」と称されていますが、もともとは「Inventor Fusion Technology Preview」という名前で、オートデスクの「Autodesk Labs」というWebサイト上で実験的に公開(2008年末ごろ)されたのが最初でした。その当時は私も、まだオートデスクにいました。なので、そのことを中山氏から指摘されて、すぐに思い出しました。

 で、「Fusionとは、何のテクノロジーか?」というと、「いろいろなCADのテクノロジーを融合(Fusion)して、1つの形にしたもの」で、故に「CADのように見えるが、CADではない」。何だか、“奥歯にモノが挟まったような”表現になってしまいます。

 今回の取材の中で、中山氏は繰り返し「CADじゃありません」ということをお話していました。あえて水野的に表現してみれば、「確かにCADではないけれど、かなり使える『3次元モデラー』」となるでしょうか。

 「Fusionで設計まで進められるのか?」というと、それはちょっと違うでしょう。しかし、純粋に「形状を作る」という意味では、3次元モデラーであると言っても間違いはないでしょう。

 ……と、言葉で語るよりも、まずはどんなものか、以下の動画を見ていただいた方が早いでしょう。

 現在、Fusionはオートデスクの主要な製品に同梱されていますが、これは取りも直さず、「オートデスクのさまざまなCAD製品の補間をして、プロセスをつなぐ」ということになるのかな、と思います。

使い方は?

 Fusionの使い方ですが、いきなり個別のシーンを見てしまうと、ものによっては確かに他のCADとの違いが見えづらくなるかもしれません。なので、Fusionが使えるシーンの全体像を業務フローの観点から説明しましょう。

 Fusionは、データを作る設計行為の領域と、それを検証する解析の領域の両方で活用することができます。

 具体的には以下のように示すことができます。

デザイン/構想/設計

  • Inventor ⇔ Fusion ⇔ Inventor
  • 他CAD ⇔ (Inventor)⇔ Fusion ⇔ Inventor
  • ACM(AutoCAD Mechanical)⇔ Fusion ⇔ Inventor
  • Fusion ⇔ Inventor(構想)
  • Fusion ⇔ Inventor(デザイン)
  • Fusion ⇔ Sketchbook Designer ⇔ Fusion
  • Fusion ⇔ Showcase
  • Design Data(Alias) ⇔ Fusion

解析

  • Fusion ⇔ MFLO(Moldflow ⇔ Fusion)
  • Fusion ⇔ Autodesk Simulation(Autodesk Simulation ⇔ Fusion)

 前回のSolid Edgeの記事を振り返れば、Fusionのポジショニングが分かると思います。

 Fusionの場合、あくまで、「InventorというCADの“外で”、ダイレクト編集をした後に、再度Inventorに読み込んでパラメトリックフィーチャ化する」という流れになります。

 そのプロセスの1つ1つについて、もう少し説明していきましょう。ある使用例について、ワークフロー的に見ると、こんな感じになります(図1)。


図1 ある使用例のワークフロー

取りあえず、もっと簡単に形状を編集したい

 そのシナリオとしては、「設計自体は3次元CADでするものの、形状が複雑になり過ぎて、フィーチャの関係が込み入ってしまい修正しづらい」ということです。まあ、「それができたとしても、面倒だ」とか、いろいろなことがあり得るでしょう。ここまでは、よく聞く話です。

 というわけで、ここでFusionの登場! ということになるわけです。

 設計のためにInventorで作った3次元モデルをFusionで開きます。Fusionの上では、フィーチャ履歴を考えずに、形状をダイレクトに修正していくことができ、これまで頭を悩ましていた複雑な物事を忘れてしまえるのです。

 ちなみに、Fusionのユーザーインタフェース(GUI)って、どこかで見たような? ――そうそう、あの(私の記事でもおなじみの……)無償CADの「Autodesk123D」と似ていますね。まあ、同じ会社が開発したものですからね。

 で、無事に形状の修正が終わったら、どうするのか。

 もちろん元のInventorに戻せばよいのです。DWGでもデータが保存できますので、このあたりのやりとりも全く問題がありません。読み込んだ後には「Change Manager」でInventorのモデルに反映します。その際も、「勝手にどんどこ作られちゃう!」……のでなくて、ちゃんとユーザー自身で確認しながらできます。

 Inventor上では、従来のようにヒストリベースのパラメトリックな作業をすることになります。でも、「より簡単にダイレクトに形状を変更したい」というときに、これまでの制限とは離れた別の世界に行って自由に形状を変えた後、再び元の世界に戻ってくる……という形での、ダイレクトとパラメトリックのスムーズな連携を実現しているというわけなのですね。

他社CADデータを編集して、そのまま使いたい

 詳細設計をしている際には、さまざまな理由で、自分が普段使っているCADによるものではない3次元データをインポートし、さらにそれを編集しなければならない場合があるでしょう。

 そんなときにも、Fusionは何かと便利そうです。Fusionでは一般的な中間ファイルフォーマットも含めて、主要な3次元CADデータのインポートが可能です。

 1回インポートしてしまえば、後は先ほどのステップと同じですね。一般に、他社CADやIGES、STEPなどで読み込んだ場合は、そこからの編集に何かと手間取るのが普通ですが、ここが楽になるわけですね。「フィーチャ認識機能」なども活用して修正をし、最後にInventorに戻すのです。


図2 インポートデータの編集ツールとして使う

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