JEITA佐々木会長「“地産地消”を進めれば必然的に国内生産比率は下がる」:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
JEITAは2014年の電子情報技術産業の世界生産見通しを発表。電子情報産業の日系企業の世界生産見込みは2013年比3%増の38.8兆円の見通しとなり、国内生産額の見通しも3年連続のマイナスから2014年は回復する見通しを示した。
国内生産は2007年の6割弱に縮小
一方、電子工業の国内生産については、“アベノミクス”による好影響は出つつあるものの、2013年もマイナス傾向が続いた。ディスプレイデバイスや半導体の好調などはあったが、デジタル機器の不振や生産撤退の影響が大きく、2013年の国内生産額は同3%減の11兆4187億円となり、3年連続のマイナスとなった。この額は2007年の約20兆円の6割弱であり、海外移転や海外委託による国内生産の縮小が急速に進んでいることを示している。
ただ、月ベースでは2013年8月以降は前年同月比でプラスに転じており、2014年については、同3%増の11兆7804億円と反転することを予測している。
海外生産比率については、2013年は3%上昇し65%となった。2014年は海外生産は伸長するものの国内がやや持ち直すことから横ばいの65%と予測している。
佐々木氏は「国内の空洞化による産業の衰退を指摘する声もあるが、国内市場が少子高齢化で縮小する一方、新興国を含めた海外が成長する中で、“地産地消”を進めていけば必然的に海外比率が上がり、国内比率が下がる。海外企業と戦う競争の中で、国内で生産する特別な付加価値が生み出せない限りは、国内生産を増やす流れにはならないだろう」と話す。
また「円高の是正やさまざまな経済政策による好影響はあるが、それがあったとしても、高い法人税率やエネルギーコストなどから、コモディティ製品のアセンブリを国内で行うことは難しい。国内拠点は、半導体やIT関連、各種パッケージソリューションの提供など、付加価値を生み出すオリジンを育てる役割になるだろう」と佐々木氏は国内拠点の役割について語っている。
海外の現地法人は? アジアの市場の動向は?:「海外生産」コーナー
独立系中堅・中小企業の海外展開が進んでいます。「海外生産」コーナーでは、東アジア、ASEANを中心に、市場動向や商習慣、政治、風習などを、現地レポートで紹介しています。併せてご覧ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 海外流出は是か非か、進む日本のモノづくり空洞化
製造業の復活は日本経済の復活に不可欠な要素である。経済成長をもたらしGDPを押し上げる効果が高い他、雇用の増加も期待できるからだ。アベノミクスの勢いに乗り、製造業が真の復活を遂げるには、どのような課題をクリアしていくべきか。「2013年版ものづくり白書」から、日本の製造業が抱える課題を明らかにする。 - メイドインジャパンの必勝パターンを読み解く
2012年4月からスタートした「小寺信良が見たモノづくりの現場」では、10カ所の工場を紹介した。今回から2回にわたり、この連載で得た「気付き」から、「ニッポンのモノづくりの強み」についてまとめる。 - 「まねできる技術は守っても無駄、教えてしまえ」日本ロボット学会小平会長
SCF2013で開催されたラウンドテーブルセッションでは「日本のものづくりの未来が見える」をテーマに各界の識者が登壇し、日本のモノづくりの現状の課題と将来像を語った。 - OKI鶴岡工場はなぜ1年間で生産効率を抜本的に上げられたのか
プリント配線板を生産していた田中貴金属工業鶴岡工場は2012年10月、沖電気工業の買収によりOKI田中サーキットへと生まれ変わった。同工場は高い技術力を誇り航空・宇宙、防衛関連での実績がある一方で多品種少量生産型のビジネスモデル転換に悩んでいた。しかし、買収後1年でその状況は抜本的に変わった。その舞台裏には何があったのだろうか。OKI田中サーキット 代表取締役社長 野末正仁氏に話を聞いた。