「NECは端末製造には注力すべきでない」――遠藤社長が語るスマホ撤退の決断:製造マネジメントニュース
NECは2014年3月期第2四半期の決算発表を行ったが、同社社長の遠藤信博氏があらためて2013年7月に撤退を表明したスマートフォン事業について言及した。
NECは2013年10月30日、2014年3月期第2四半期の決算を発表するとともに、2016年3月期までの3カ年計画の進捗状況について説明した。また登壇した同社代表取締役 執行役員社長の遠藤信博氏が2013年7月に撤退を発表したスマートフォン事業について経緯を説明した(関連記事:NEC、スマホ事業“前向き”な撤退――脱“モノ”売りを加速)。
目指す姿を外部に発信できていない
NECの2014年3月期第2四半期(2013年4〜9月)の決算は、売上高が前年同期比4.5%減の1兆3831億円、営業利益が同99.2%減の4億円、経常損益と純損益はともに赤字転落し、それぞれ145億円、262億円の損失となった。同社では2013年7月にNECカシオモバイルコミュニケーションズが担う携帯電話端末事業の見直しを発表し、スマートフォン事業から撤退することを明らかにしている。ただ抜本的なポートフォリオ改革に取り組んでいるにも関わらず、2014年3月期第2四半期までは反転する兆しはまだ見えていない。
遠藤氏は「中期計画の初年度の目標として『成長領域の確立』を掲げている中で、そういう姿を外に向かって見せられていない、もしくは弱いということは認識している。しかし中では徐々に固まってきた。例えばSDN(ソフトウェア・ディファインド・ネットワーク、ネットワークの仮想化)事業や、海外のITソリューション強化など、成長の芽は出てきている。これらを見える形にしていく」と力を込める。
同社では、2013年4月に、2016年3月期までの3カ年の中期経営計画「2015中期経営計画」を発表。その中で同社は社会インフラに関係する分野に注力する方針を示し、特に「社会ソリューション事業への注力」「アジアへの注力」「安定的財務基盤の構築」の3つに取り組む。そして、これらの方向性との親和性およびビジネス貢献度の低い事業については再編する方針を示している。
核となる技術を生かせる分野に注力
現在はNECビッグローブの再編なども注目を集めているが、今回の決算発表ではあらためて遠藤氏がスマートフォン事業撤退の経緯について説明した。
「新しい中期計画をスタートさせる中で不安定な材料として悩んでいたのが携帯電話端末事業だった。同事業にどのように対処すべきかを模索しているうちに、今回の中期計画期間に入ってしまった。しかし、方針を決められなければ中期計画全体への影響が出かねないということで、2013年7月に決断した」と遠藤氏は語る。
さらにクラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータなどのITトレンドに対しては「基本的にはこれらの大きなトレンドに乗っていくことは他のITベンダーと同じだが、端末まで全ての領域をカバーする必要はないと考えている。端末は協業やパートナーシップで対応すべきで、当社が注力すべきものではない」(遠藤氏)と強調。「クラウドやビッグデータは、NECが得意なネットワークとハイパワーのコンピューティング技術が中心。特に当社が持つ認識技術などはビッグデータで生きてくる。核となる技術を生かせる分野に注力していく」と遠藤氏は語っていた。
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