富士通、製造業支援を強化――3Dプリンタ試作やビッグデータ分析、製造受託も:製造ITニュース(2/2 ページ)
富士通は、同社が展開する製造業向けの支援サービス「もノづくりソリューション」を体系化。ビッグデータ分析や製造受託などの新サービスを加え、事業として強化していく方針を示した。
3Dプリンタを使った試作サービス
新たなサービスとして加える「製造支援サービス」は、ICTや生産手法だけでなく、富士通がそのまま顧客企業の製品開発で必要となる製品や試作品の受託を行うというもの。富士通の国内23工場の生産能力を活用するという。現在は23工場中5工場で受け入れ体制があり、今後順次対応を広げていくという。
具体的に行う製造受託内容は、「精密部品を加工する」「3Dプリンタを活用した試作品」「その他部品製造」の3つ。富士通では携帯電話機からPC、スーパーコンピュータまでさまざまな製品を製造しているが、これらに使う部品製造のノウハウを生かし、電子部品や精密加工部品などの受託生産を行う。また試作については、3Dプリンタを現在12台所有しており、3次元データからの試作だけでなく、2次元画面や手書きのポンチ絵からの試作も請け負う。
実際に富士通内22部門で行った3Dプリンタ活用の検証では、部品試作コストを50〜96%、試作リードタイムを50〜92%、金型改造コストを30〜94%削減できたという。
モノを作らないモノづくり
「仮想検証ソリューション」は、3次元データなどを活用し製品の品質検証や製造ラインのシミュレーションを仮想空間上で行い、実際の作業の効率を高めようというものだ。「モノを作らないモノづくり」を基本コンセプトとし、同社が展開するデジタルモックアップツール「VPS(Virtual Product Simulater)」や生産ラインシミュレーター「GP4」などにVR(仮想現実)を加え、よりリアルな仮想検証を行える(関連記事:次世代モノづくりのカギはバーチャル化とビッグデータ活用にあり)。
富士通 ものづくり推進本部 本部長の渡辺伸寿氏は「ICTの力をうまく活用することにより実際のモノづくりの効率も高めていける。富士通の自社工場では、リードタイムや加工コストの半減に成功した例もある」と話している。
モノづくりにビッグデータを活用する意味
「モノづくりビッグデータ分析」は、工場の製造機械のログデータやその他の工場データからキュレーターがデータ分析を行い、それを富士通のモノづくりのエキスパートが現場に当てはめ、改善につなげていくサービスだ。
富士通 産業・流通営業グループ ものづくりビジネスセンター長の永島寿人氏は「詳細については現在社内実践を進めているところだが、現場だけでは思いもよらなかった相関関係が見えてきたケースもある。製造設備へのセンサーの設置などどういうデータ取得方向が有効か、という点などコンサルテーションも含めて提案するサービスにしていきたい」と話している。
同社では、今後も製造業向けのサービス内容を拡充していく方針を示しており、現在は行っていない「調達代行サービス」「設計分析」などの領域にも参入していくという。またこれらのソリューションサービスをクラウド・プラットフォーム上で提供する準備も進め、現在は日系企業の国内工場が中心であるのを、海外工場、海外企業にも広げていくという。
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