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新型「フィット」の1.3lエンジンモデル、燃費26.0km/lで日産「ノート」を上回るエコカー技術

新型「フィット ハイブリッド」の燃費性能に注目が集まっているが、同時に発表された新型「フィット」の排気量1.3lエンジンモデルも、JC08モード燃費が26.0km/lと極めて良好だ。日産自動車の「ノート」やマツダの「デミオ」といった、同格のガソリンエンジン車と比べて燃費性能で上回り、価格も安価である。

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新型「フィット」の排気量1.3lエンジンとCVT

 ホンダがは2013年9月6日から販売している新型「フィット」と「フィット ハイブリッド」。フィット ハイブリッドが、JC08モード燃費で36.4km/l(リットル)を達成したことに注目が集まっている(関連記事:新型「フィット ハイブリッド」燃費世界一の立役者、「i-DCD」の仕組み)が、フィットの排気量1.3lエンジンモデルのJC08モード燃費も26.0km/lと極めて良好だ。

 この値は、ダウンサイジング過給によって低燃費化を実現した日産自動車「ノート」の25.2km/lや(関連記事:新型「ノート」は「フィット」キラーになるか、燃費は25.2km/lを達成)、圧縮比を14.0まで高めたガソリンエンジン「SKYACTIV-G」を搭載するマツダ「デミオ」の25.0km/lを上回っている(関連記事:SKYACTIVエンジンは“理想の燃焼”に向けた第1ステップ)。

 2013年7月にスズキが発表した「スイフト」が、新開発の「デュアルジェット エンジン」の搭載によって26.4km/lを達成していなければ、ハイブリッド車のみならず、排気量1.2l以上のガソリンエンジン車でもトップに立っていたことになる(関連記事:スズキが「デュアルジェット エンジン」を新開発、「スイフト」の燃費を2割向上)。

注:ガソリンエンジンの登録車では、排気量1.0lエンジンを搭載する三菱自動車の「ミラージュ」が、27.2km/lでトップ(関連記事:国内向け「ミラージュ」、燃費・排気量・サイズは「第3のエコカー」のど真ん中)。

 一方、先述の燃費を達成しているグレードの税込み価格を比較すると、ノートの144万9000円、デミオの135万円、スイフトの139万7550円に対して、新型フィットの排気量1.3lエンジンモデルは126万5000円と安価だ。

「i-DCD」と同様にパワートレインを一新

 新型フィットの良好な燃費は、フィット ハイブリッドのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」と同様に、ガソリンエンジンモデルのパワートレインの一新によって達成された。パワートレインを構成する、排気量1.3lエンジン、無段変速機(CVT)、アイドルストップシステムの3つに分けて、どのような取り組みがなされたか見ていこう。

新型「フィット」の排気量1.3lエンジンとCVT
新型「フィット」の排気量1.3lエンジンとCVT。左側がエンジン、右側がCVTである(クリックで拡大)

 新型フィットとフィット ハイブリッドは、排気量1.3lエンジンを含めた全てのエンジンについて、吸排気機構を従来のSOHCからDOHCに変更するとともに、走行状況に応じて2つのカムを使い分けるVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)と、吸気側バルブを連続的に制御する電動VTC(連続可変バルブタイミング・コントロール)を採用している。

VTECと電動VTCによるバルブコントロールタイミングのイメージ
VTECと電動VTCによるバルブコントロールタイミングのイメージ(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 排気量1.3lエンジンの場合、VTECの広開角カム(バルブを開いている時間が長くリフト量も大きい)によって吸気バルブが閉じるのを遅らせ、気筒内に吸い込んだ混合気の一部を吸気ポートに戻すことで、圧縮比よりも膨張比が大きくなり、熱効率も高くなるアトキンソンサイクル化を実現した。エンジン燃焼を安定させにくい低回転領域と最高回転領域では、VTECのもう1つのカムである狭開角カム(バルブ開閉タイミングとリフト量が従来と同じ)を用いてエンジン動作を安定させる。

 さらに、電動VTCにより、バルブの閉じるタイミングを遅らせることでアトキンソンサイクル化の効果を高められるという。この他にも、高出力運転時に、バルブオーバーラップ(吸気ポートと排気ポートが同時に開いている状態)が大きくなるように制御することでノッキングを防止するなど、運転状況に応じたバルブタイミングの最適な制御も行える。VTECと電動VTCを使った吸気バルブの制御により、圧縮比は13.5という高い値を実現した。

 なお、排気量1.3lエンジンの最高出力は73kW(6000rpm)、最大トルクは119Nm(5000rpm)となっている。

新開発CVTは5%の燃費向上効果

 トランスミッションのCVTは、従来品と比べて伝達効率の向上と軽量化が図られている。まず、伝達効率については、新開発の高強度ベルトや摩擦係数の高い専用オイルの採用によって向上した。軽量化では、別体だった油圧制御系部品をユニット化するとともに、サイドカバーをプーリー軸支持構造にして、プーリー作動油圧の低減によってプーリーシャフトを小径化し、プーリーも薄肉化した。これらによって、従来比で約10%の軽量化を実現している。

CVTを軽量化するための工夫
CVTを軽量化するための工夫(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 この他、プーリーシャフトを小径化することで、変速比幅(レシオレンジ)を約8%拡大。この広げた変速比幅を主にロー側に生かすことで、発進時の駆動力を高めている。さらに、オイルポンプの容量最適化や、低摩擦の軸受の採用、オイル撹拌抵抗の低減によりCVTで発生している摩擦損失を減らした。これらの工夫により、従来のCVTと比べてトランスミッション単体で5%の燃費向上効果が得られるという。

アイドルストップシステムにキャパシタを採用

 新型フィットは、停車時にエンジンを停止して燃料消費を減らせるアイドルストップシステムを標準装備している。排気量1.3lエンジンモデルでは、このアイドルストップシステムの蓄電デバイスとして、鉛バッテリーと比べて素早く充放電でき、繰り返し使用しても劣化が少ない電気二重層キャパシタを採用しているのだ。

 電気二重層キャパシタの採用といえば、マツダが「アテンザ」に搭載した減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」が思い起こされる(関連記事:10秒チャージで電装品が1分以上動く、新型「アテンザ」搭載の「i-ELOOP」)。i-ELOOPは、電気二重層キャパシタの総容量が25kJ(キロジュール)あり、充電した電力を使って電装品を60〜80秒の間動作させることが可能だ。

 しかし、新型フィットの排気量1.3lエンジンモデルの場合、電気二重層キャパシタの容量はi-ELOOPよりもはるかに少ないので、電装品を数十秒動作させるほどの電力は供給できない。とはいえ、高い充放電特性によって、減速エネルギーを効率よく回収し、その分だけエンジンへの負荷となるオルタネータの動作頻度を下げられるので、燃費を向上する効果は十分得られるという。

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