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SKYACTIVエンジンは“理想の燃焼”に向けた第1ステップマツダ SKYACTIVエンジン開発担当者インタビュー(前編)(1/2 ページ)

マツダの「デミオ」や「CX-5」など、次世代技術「SKYACTIV」を採用した新モデルの販売が好調だ。これらの車両の最大の特徴となっているのが、「SKYACTIVエンジン」による良好な燃費や排気ガス性能である。MONOistオートモーティブフォーラムでは、このSKYACTIVエンジンの開発を主導した、同社パワートレイン開発本部 エンジンプログラム主査の仁井内進氏へのインタビューを前後編に分けてお届けする。今回の前編では、SKYACTIVエンジンの開発の根幹を成す“理想の燃焼”に向けた取り組みについて聞いた。

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 エンジン性能を高めることで大幅に燃費を改善した「第3のエコカー」への注目が集まっている。その皮切りとなったのが、2011年6月にマツダが発売した30km/リットル(10・15モード)の燃費を達成した「デミオ」だ。その後、ダイハツの「ミラ イース」やスズキの「アルト エコ」なども発売され、トヨタ自動車の「プリウス」や「アクア」、ホンダの「フィット ハイブリッド」といったハイブリッド車と並んで、第3のエコカーは好調に販売台数を伸ばしている。

 さらにマツダは、世界で初めてNOx(窒素酸化物)後処理装置を用いずに日本、米国、欧州の排気ガス規制をクリアしたクリーンディーゼルエンジンを搭載するSUV(スポーツ多目的車)「CX-5」を2012年2月に市場投入。発売から1カ月後の累計受注台数8000台のうち73%がディーゼルエンジンモデルとなるなど、エコカーとしてディーゼルエンジン車がクローズアップされるきっかけとなった。

 デミオやCX-5が、エコカーとして位置付けられる上で大きな役割を果たしているのが、マツダの次世代技術「SKYACTIV」の1つである「SKYACTIVエンジン」である。デミオなどに搭載されているガソリンエンジン「SKYACTIV-G」と、CX-5のディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」は、“理想の燃焼”を追求したエンジン開発の成果として結実したものだ。では、この“理想の燃焼”とは何なのか。SKYACTIVエンジンの開発を主導した、同社のパワートレイン開発本部でエンジンプログラム主査を務める仁井内進氏に聞いた。

マツダの仁井内進氏
マツダの仁井内進氏

MONOist デミオやCX-5の販売が好調です。これらマツダの新モデルに搭載されているSKYACTIVエンジンがその原動力の1つになっています。SKYACTIVエンジンの開発の背景について教えてください。

仁井内氏 マツダでは2007年から、研究開発から製造に至るまで自動車の開発/製造に関わる全てのプロセスを革新する取り組みを立ち上げました。この取り組みの中で、エンジン開発でも新たなコンセプトを導入しました。そのコンセプトとは、エンジンにおける燃料燃焼の理想的な状態を想定して、いかにすれば理想の燃焼を実現できるかを探索するというものです。しかし実際には、理想の燃焼と、現在の技術をそのまま改良して得られるものとの間にはギャップがあります。われわれは、このギャップを埋める「ブレイクスルー」技術を開発することで、理想の燃焼の実現に近づいています。SKYACTIVエンジンは、その成果の1つなのです。

MONOist エコカーの動力源(パワーソース)を開発するという観点では、電動システムを用いるハイブリッド車なども選択肢になります。マツダがエンジンの性能向上にこだわったのはなぜですか。

仁井内氏 自動車メーカーは、できる限り自動車のCO2排出量を減らす責務があります。しかし、ハイブリッド車や電気自動車は、通常のエンジン車と比べて高コストになるので、モータリゼーションが始まりつつある新興国では普及しにくい。エンジンの性能を向上して、そのエンジンを搭載する車両を新興国で販売すればCO2排出量の削減に大きく貢献できるはずです。先進国では、性能を向上したエンジンと電動システムを組み合わせたハイブリッド車により、さらに良好な燃費を実現できます。これらのように、エンジンの性能向上は、CO2の排出量を削減するためにも極めて重要な取り組みであると考えています。

「SKYACTIV」技術におけるブレイクスルーのイメージエンジン搭載車両の比率 左の図は「SKYACTIV」技術におけるブレイクスルーのイメージ。「SKYACTIVエンジン」も、ブレイクスルー技術の開発によって実現した。右の図は、2020年までのエンジン搭載車両の比率を示している。マツダは、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車を含めて、2020年時点でもほとんどの車両にエンジンが搭載されていると想定している。(クリックで拡大) 出典:マツダ

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