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新型「フィット ハイブリッド」燃費世界一の立役者、「i-DCD」の仕組みエコカー技術(1/2 ページ)

ホンダの新型「フィット ハイブリッド」が、「世界一の燃費性能」(同社社長の伊東孝紳氏)を実現できたのは、新開発の1モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」によるところが大きい。7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の採用をはじめとするその仕組みはどのようになっているのだろうか。

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新型「フィットハイブリッド」とホンダ社長の伊東孝紳氏

 ホンダは2013年9月5日、小型車「フィット」とフィットのハイブリッドモデル「フィット ハイブリッド」をフルモデルチェンジしたと発表した。外観や内装のデザインから、エンジンやトランスミッションなどのパワートレイン、プラットフォーム、シャシーに至るまで各部を新たに設計し、居住性や燃費性能、走行性能を大幅に進化させた。

 新開発の1モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD(以下、i-DCD)」を搭載するフィット ハイブリッドのJC08モード燃費は36.4km/l。トヨタ自動車のハイブリッド車「アクア」のJC08モード燃費35.4km/lを抜いて、電気自動車やプラグインハイブリッド車を除く国内の量産車で最も良好な燃費を達成した。税込み価格は163万5000円からで、169万円からのアクアよりも低く設定している。

ホンダの新型「フィットハイブリッド」の外観(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 排気量1.3lのアトキンソンサイクルエンジンを搭載するフィットの「13Gグレード」も、同クラスのガソリンエンジン車のJC08モード燃費でトップとなる26.0km/lを実現。これは、フィット ハイブリッドの従来モデルの費26.4km/lとほぼ変わらない。税込み価格も126万5000円からと、競合となる日産自動車の「ノート」やマツダの「デミオ」よりも安価だ。

⇒新型「フィット」の排気量1.3lエンジンモデルの記事はこちら

「フィットは最重要車種」

新型「フィット」について説明するホンダの伊東孝紳氏
新型「フィット」について説明するホンダの伊東孝紳氏。背後には、左から、フィットの「13Gグレード」、「フィット ハイブリッド」、スポーツモデルの「RS」が並んでいる(クリックで拡大)

 発表会に登壇したホンダ社長の伊東孝紳氏は、「フィットは、初代モデルを発売した2001年から数えてわずか12年間で、123カ国にわたって487万台を販売するまで成長した。このフィットを世界一のコンパクトカーにすることをずっと考えてきた。全てを新設計とした新型のフィットとフィット ハイブリッドは、ホンダがグローバル展開を拡大する上での最重要車種に位置付けている。フィットやフィットハイブリッド、そしてフィットをベースとするコンパクトカーを含めて、2016年までに150万台販売するのが目標」と意気込む。

 国内市場の月間販売目標台数は、フィットとフィット ハイブリッドの合計で1万5000台。現時点で、既に約2万5000台の事前受注があるという。フィット ハイブリッドの販売比率については、「最終的には70%程度になる」(ホンダ)と見込んでいる。

歴代の「フィット」
歴代の「フィット」。左から、2001年6月発売の初代モデル、2007年10月発売の2代目モデル、今回発表の3代目モデルの順で並んでいる(クリックで拡大)

エンジンをアトキンソンサイクル化

 今回の新型フィットの発表に向けて話題をさらってきたのが、フィット ハイブリッドの「世界一の燃費性能」(伊東氏)を実現したi-DCDである。i-DCDは、2012年11月に、既存の「IMA」と比べて燃費性能を30%以上向上できるハイブリッドシステムとして発表された。2013年7月には、i-DCDを搭載する新型フィット ハイブリッドのJC08モード燃費が、従来モデルのフィット ハイブリッドの26.4km/lを約38%、トヨタ自動車のアクアの35.4km/lを約3%上回る、36.4km/lを達成したことが公表されている。伊東氏は、「i-DCDを他の車種にも順次展開する」と述べており、まずは近々発表を予定しているフィットベースの小型SUVに搭載する見通しだ。


 i-DCDは、ハイブリッド車に最適化した排気量1.5lのアトキンソンサイクルエンジンと、出力22kWのモーターを内蔵する7段変速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)、リチウムイオン電池を用いたIPU(インテリジェントパワーユニット)などから構成されている。

新型「フィット ハイブリッド」に搭載された「i-DCD」の構成
新型「フィット ハイブリッド」に搭載された「i-DCD」の構成(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 まずエンジンについては、吸排気機構を従来のSOHCからDOHCに変更するとともに、VTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)の採用によって熱効率に優れるアトキンソンサイクル化を実現。さらに、吸気側バルブを連続的に制御する電動VTC(連続可変バルブタイミング・コントロール)を用いることで、アトキンソンサイクル化の効果を高めた。この他、摩擦損失の低減や軽量化も果たしており、燃費向上に貢献している。

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