個人製造業時代に! 市民工房ネットワーク「FabLab」の世界代表者会議が横浜で開催:製造ITニュース
多様な工作機械を備え“市民モノづくり”を振興する実験的な市民工房ネットワーク「FabLab」の各国の代表者が集まる第9回世界会議が「FAB9」が2013年8月21日〜27日まで神奈川県横浜市で開催される。
「FabLab(ファブラボ)」は、世界50カ国200カ所以上にある実験的な市民工房のネットワークだ。3Dプリンタや3次元切削機器など、デジタルファブリケーション技術の進化により、モノづくりにおける「つくる人」と「使う人」の境界線は縮まりつつある。その中で、市民による自由なモノづくり活動(パーソナルファブリケーション)を振興するために生まれた。
FabLabには、3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタル工作機械が用意されており、その中で体験教室や一般公開などを行うことで、“自ら欲しいものを作る”という体験を広げていく。現在日本には神奈川県鎌倉市の「FabLab 鎌倉」の他、茨城県つくば市、東京都渋谷区、仙台市、大阪市の5つのFabLabがある。また新たに横浜市にも「FabLab 関内」がオープンするという(関連記事:自分が遊ぶものくらい自分で作ろう――FABLAB鎌倉訪問記)。
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FabLabの強化合宿「代表者会議」
「世界FabLab代表者会議」は、世界中にあるFabLabの代表者が集まり、モノづくりに対する知見を交換するもの。横浜で開催する「第9回世界ファブラボ代表者会議(FAB9) in 横浜」は「パーソナル・ファブリケーション――新たなルネサンスの夜明け」をテーマに掲げ、代表者による交流とともに、シンポジウムやワークショップなど市民との交流の場を幅広く用意する。
FAB9実行委員長でFabLab Japanの創設者である慶應義塾大学環境情報学部准教授の田中浩也氏は「FAB5から参加してきたが当時は30人程度の参加者だった。年々参加者は倍増し、FAB9では250人程度が参加する見込みだ。単なる国際会議というものではなく、新たなモノづくりに向けた集中強化合宿のようなイメージ。今回は会場を1カ所ではなく複数用意し、ワークショップやシンポジウムなども行い、横浜全体に影響を広げていけるようにしたい」と話している。
FAB9の開催時期は2013年8月21〜27日で、会場は横浜市のヨコハマ創造都市センター、横浜市開港記念会館、KAAT 神奈川芸術劇場、さくらWORKS<関内>など。2013年8月26日にはKAAT 神奈川芸術劇場で「進化するメイカームーブメント―グローバルものづくりの未来―」をテーマに公開シンポジウムを用意している。その他「世界ファブラボ対抗モノづくりコンペ」や「ファブラボ体験ワークショップ」なども開催する。また期間中の2013年8月26日には「FabLab 関内」がオープンし、オープンパーティなども開催されるという。
田中氏は「大量消費大量生産モデルではカバーできない領域のモノづくりが存在する。そういう従来にないモノづくりの考え方を定着させていきたい。例えばFabLabで作ったモノの中には、最小でチップ、最大で家を作った例がある。あらゆる分野でモノづくりが変わる可能性を秘めている」と話している。
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