アフリカは日系製造業にとってはまだ暗黒大陸なのか:最後のフロンティア「アフリカ」(前編)(3/3 ページ)
豊かな資源に支えられ経済成長を遂げるアフリカ。今後の主力消費地および製造地を担う「最後のフロンティア」として注目が集まる一方で、日系企業の動きは他国に比べて鈍い。アフリカ経済の現状と日系企業の動向について、日本貿易振興機構の高崎早和香氏に聞いた。
アフリカで存在感を高める中国
徐々に進出を広げている日系企業だが、アフリカでの存在感を見ると、相対的には下がっているという状況だ。アフリカは植民地時代からの関係で旧宗主国である仏国や英国などの存在感が大きく、直接投資も大きい。また米国なども大きな投資を行っており、この3カ国の存在感が非常に強い地域だ。それに次ぐ存在としてドイツや日本があったのだが、ここ数年で中国の存在感が急速に増している。
中国の対アフリカ投資は、2003年には4億9100万ドルだったのに対し、2011年には約33倍となる162億4400万ドルに達している。これは日本(80億8100万ドル)の約2倍に当たる。また韓国も2010年以降投資を急増させており、2011年は78億5300万ドルとなるなど、日本並みの直接投資を行うようになってきている。
高崎氏は「中国の攻勢は顕著だ。2001年から2011年にかけて中国からアフリカへの輸出は約13倍に成長。一方でアフリカから中国への輸出も約19倍に成長しており、経済的な結び付きが急速に高まっていることが分かる。特にサブサハラ(サハラ砂漠以南)地域への攻勢は強く、資源獲得などについても影響力が高まっている」と懸念を示す。
企業関係者からは「政府とのコネクションから中国に案件を奪われるケースは目に見えて増えてきている」との声も聞く。数多くの先駆者はいるものの、日系製造業にとってアフリカは、距離的にも遠くインフラも未整備で、文化や風土もよく分からない“暗黒大陸”としての見方も強い。実際に多くのリスクが存在し、そのため投資を一気に増やすということが難しい状況がある。
ただグローバル競争の中、10年後や20年後の将来を描いたときにアフリカは重要な市場になっているのは間違いない。「リスクと将来性のバランスをどう取って、アフリカへのアプローチを図るのか、が日本企業には求められているだろう」と高崎氏は話している。
次回は、アフリカが抱える具体的なリスクを紹介するとともに、期待できる国、またアプローチの方法などについてお伝えする。
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