製造業も熱視線、最後のフロンティア「アフリカ」をどう攻める?:製造マネジメントニュース アフリカン・フェア2013
最後のフロンティアとされる「アフリカ」にどう向き合うか――。アフリカ開発会議に合わせて開催されたアフリカン・フェアには日本企業73社が出展。アフリカでの取り組みやアフリカ向けの商品などをアピールした。出展企業にアフリカへの取り組み、期待感について聞いた。
最後のフロンティア
最後のフロンティアとされるアフリカは製造業にとっても、攻略が必要となる地域だ。「第5回アフリカ開発会議」(2013年6月1〜3日、パシフィコ横浜)と合わせ、アフリカの文化やビジネス情報を紹介する「アフリカン・フェア」(2013年5月30〜6月2日、パシフィコ横浜)が開催された。会場には経済産業省が主催した日本企業コーナーなども用意され、73社が出展。各社にアフリカ市場への取り組みと期待感について聞いた。
アフリカは豊かな資源に裏打ちされて、著しい経済成長を遂げているほか、人口増加も顕著で今後大きな市場としての成長が期待されている。国際連合の調査によると2011年のアフリカの人口は約10億5400万人で、世界の人口の7分の1を占める。これが2050年には約22億1700万人になると予測。世界人口の5人に1人以上がアフリカの人々になる見込みだ。
これらの成長に対し、製造業からの期待は大きい。市場成長に伴い、グローバル最適地生産を進める流れから製造拠点としての価値も高まると見られており、中国、インド、南米などに続く、攻略地域として注目が集まっている。
アフリカに最適化した商品
アフリカン・フェアの日本企業コーナーでは、73社から78ブースの出展があり、各社がアフリカ向けに最適化した商品やサービスをアピールした。
パナソニックは、秋から新たにアフリカに太陽光発電と蓄電池、電灯を一体化した「ソーラーランタン」を発売する。無電化地域を中心に普及を進める方針だ。電灯としてだけでなくUSB接続端子を備えており、携帯電話機の充電などにも活用できる。
同社では、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイを拠点とし運営を行っており、白物家電や薄型テレビなどを出荷している。またタンザニアで乾電池を40年以上前から生産するなどの実績もあるという。担当者は「アフリカは将来有望な市場。ただ政治的な問題などで不安定な状況もあり、急成長を期待するよりも地道に取り組みを広げていく」と話している。
日産自動車は、南アフリカやエジプト、ケニアなどで自動車を生産。「有望な市場。最適地生産を進める中で、今後市場としての成長が伴えば、アフリカでの現地生産比率が高まることも考えられる。ただ、50カ国以上あるアフリカ各国の状況はそれぞれ異なっており、市場の嗜好やメーカーシェアなどもそれぞれ異なる。そういう状況を見極めていく必要がある」と担当者は語っている。
アフリカ市場で既に高い実績を持つヤマハ発動機は、アフリカ内で80%以上のシェアを持つというボート用の船外機や、アフリカ向けに機構や部品を簡素化し、現地でも修理可能としたアフリカ専用バイクなどをアピールしている。
NECは、ネットワーク機器や各種業務用IT機器を出展。携帯電話機器の普及により、ネットワーク関連の需要が旺盛で、アフリカ向けでは成長を続けているという。同社では2011年12月にサブサハラ地域(サハラ砂漠より南)を統括する現地法人「NECアフリカ社」を設立。その支店としてナイジェリアやケニアにも拠点を設置するなどアフリカ向けの体制を強化している。担当者は「中国などとの競合関係は厳しいが、品質や技術力を強みに地道に浸透に取り組んでいる」と話す。
生産拠点としての定着はまだまだ
JETRO(日本貿易振興機構)が、アフリカへの進出企業に向けたアンケート(PDF)では、過去5年間の業績について半数以上が「改善」したとしており、今後のアフリカの重要度は約7割が「増す」と回答している。一方で、9割近くの企業が「政治的・社会的安定」を経営上のリスクと掲げており、これらの安定が今後の成長の大きなカギを握ると見られている。
実際に、出展各社の担当者からは「期待は大きいが一気に成長するという段階ではまだない。生産地としてはリスクも大きく、市場の成長とリスクを照らし合わせて選択していく必要がある」との話も出ていた。
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