TNGA&開発体制の改革で「グローバルビジョン」達成を目指すトヨタ:製造マネジメントニュース
意思決定プロセスの大胆な変更、プラットフォーム共通化を発表したトヨタ自動車。部品共通化による原価低減とフットワークの軽い開発体制で「もっといいクルマづくり」を目指す。
トヨタ自動車は2012年4月9日、新たな車両開発方針として「Toyota New Global Architecture(TNGA)」を発表した。2011年3月9日に発表した「トヨタグローバルビジョン」に即したものだ。トヨタグローバルビジョンでは、「連結営業利益率5%、1兆円程度の営業利益」を目指しており、また2015年には販売比率を日米欧50%、新興国50%と、新興国市場の割合を高めようとしている。
従来、同社の車両開発では先進国向けに作り込んだプラットフォームを新興国向けに落とし込んでいく手法が主だったが、今回発表したTNGAではプラットフォーム共通化を推進し、複数車種での部品共通化および部品点数削減を目指すことになる。
複数車種の同時企画・開発を行う「グルーピング開発」も導入している。これにより、車種間の基本部品やユニットの共通化比率を高めるとしている。車種間をまたいだ効率化を進め、より多くの工数を市場別向け開発に振り向けるとしている。
同社によると、まず、FF系プラットフォーム(3種)でTNGAを展開し、同社の総生産台数の5割の効率化を進めるとしている。3種のプラットフォームで6車種の開発を進めているという。
併せて、開発体制の強化も発表している。
チーフエンジニアの権限を強化し、製品企画本部長直轄に置く。迅速な意思決定ができる体制を作り、顧客指向の製品開発が素早く行える体制を目指すという。
また、社内での車両デザイン評価体制もスピードを重視する。同社内での「デザイン審査」プロセスへの参加メンバーを絞り、開発責任者の権限強化と併せ、判断スピードを上げる。
また、製品企画本部内には、北米・中国、日本・欧州、新興国(ロシア・アジア・オーストラリア・中近東・中南米・アフリカ)と地域(市場)を3つに別け、それぞれ地域統括部長を配置する。研究開発拠点は従来通り、日本、米国、欧州、タイ、オーストラリアおよび中国に置き、マーケットニーズ集約の責任は地域統括部長に集中させる。これにより、営業部門・研究開発部門との連携を強化し、マーケットニーズ開発を進める。
なお、同社の高級車ラインである「レクサス」については、これとは別の世界共通ブランドとしての開発を継続するとしている。
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