デンソーがインテルと共同開発、次世代車載情報通信システム:電気自動車
車載情報通信システムに求められる内容が変わってきた。もはやカーナビを軸としたシステムでは対応できない可能性がある。デンソーはインテルと共同で、次世代車載情報通信システムの開発に乗り出した。
カーナビゲーションシステム(カーナビ)は、車の運転の在り方を大きく変えた。車中に居ながらにして地図情報や店舗情報を参照でき、道路状況に応じた最短ルート検索や車の位置に応じた道順案内などは当たり前の機能になっている。「走る、曲がる、止まる」以降の車の進歩の中でも最大級の出来事だったのではないだろうか。
だが、ドライバーが受け取る情報は今後も増えていく一方だ。カーナビの画面をカーナビだけに利用するのはもったいない。
デンソーは2012年2月29日、米Intelとの間で次世代車載通信システムに関する共同開発の覚え書き(MOU)を締結したと発表した。契約期間は2011年7月から2012年末*1)。
*1) 2012年2月にMOUを締結したが、契約自体は2011年7月にさかのぼった形だ。「今回は基礎研究の段階なので、製品化には時間がかかる」(デンソー)。なお、契約の延長があり得るという。
共同開発の内容について、デンソーは「(当社がもつ)IT関連製品を車両へ搭載するために必要な品質要件とインフォテインメント機能に要求される機能進化との両立に関する専門性を活用する」としている。だが、これでは内容が分かりにくい。
「今回の研究開発の目的の1つは、カーナビの機能とディスプレイを分離することだ。例えば電気自動車(EV)の充電タイミングや最適な充電ポイントを表示するために使ったり、エンタテインメント用に使用したりすることが考えられる」(デンソー)。
その際に、カーナビ専用ディスプレイを使うのではなく、スマートフォンやタブレットなどで置き換えることも検討しているという。通信と機能、表示を分離し、フレキシブルなシステムを作ることで、ドライバーや同乗者が大量の情報をたやすく扱えるようにすることが目的だ。なお、開発対象となる車はEVに限定されてはいない。
トヨタもインテルと開発中
なお、トヨタ自動車は2011年11月10日にIntelとの間で「次世代車載情報通信システム」に関する覚え書きを締結している(関連記事:トヨタとインテルが組む、車載情報システムを一新)。
トヨタは共同研究の内容を2つ挙げた。まず「車載情報通信システム(車載器側)を介したドライバーへの最適な情報提供手法」の研究。もう1つは「車載器本体とその周辺にある情報機器とのシームレスな情報通信技術」に関する研究、つまり通信方法の研究だ。研究分野がデンソーのものとよく似ている。
「Intel・トヨタ自動車・デンソー連合を形成したということではない。車メーカー各社は自社の車に適合する情報通信システムを求めている。今回はIntelと契約したが、他社との契約も視野にある。さらに開発した技術をトヨタ自動車だけに提供するわけでもない」(デンソー)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- トヨタとインテルが組む、車載情報システムの一新狙う
トヨタは専用の車載器に全ての機能を持たせることをやめる - 電気自動車にはクラウドが不可欠、Microsoftとトヨタがサービス構築で提携
次世代テレマティクスを全世界で展開 - 「うるさい」と思われつつ、使ってもらえるサービスにヒントあり