パイオニアは再起できるのか、マルチメディアプラットフォームとクラウドが鍵に:車載情報機器(2/2 ページ)
パイオニアは、利益率の悪化が続くカーエレクトロニクス事業の構造改革推進を中核とする、2014年度までの2年間の中期計画を策定した。中期計画で鍵を握るのは、マルチメディアプラットフォームを共同開発する三菱電機、車載情報機器のクラウドサービス活用推進で連携するNTTドコモとの業務提携である。
モジュラーデザインを新製品の60%に適用
2つ目の施策は、コスト構造の抜本的見直しによる原価低減の推進である。車載情報機器の開発で採用が広がっている、プラットフォームとモジュールの組み合わせでさまざまな製品を実現するモジュラーデザイン(関連記事:VWはモジュール化だけじゃない、車載システムの“民主化”にも取り組む)を本格導入し、設計工数と生産工数の圧縮を図る。2013年度後半から順次適用を始め、約60%の新製品をモジュラーデザインで開発/生産する。これによって開発工数は約20%、生産工数は約10%削減できるという。2014年1月には、モジュラーデザインを適用した第1弾製品の量産を始める計画だ。
生産拠点の海外シフトも進める。国内ではフラッグシップモデルの「カロッツェリア」のみを生産し、「楽ナビ」などの普及モデルは海外で生産する。また海外生産についても、東南アジア圏への拠点統合を進める。これらの生産拠点の再編は、2014年度末までに完了させる予定。2014年度には15億円のコスト削減効果を見込む。
三菱電機と共同開発しているカーナビプラットフォームの活用でもコスト削減を図る。2013年度だけでも約25億円の削減を予定している。カーナビプラットフォームをさらに進化させたマルチメディアプラットフォームについては、中期計画終了後の2014年度以降でのコスト削減を見込んでいる。
3つ目は、量販店やカー用品店で販売する市販品と、自動車メーカーなどに納入するOEM品の着実な売り上げ拡大である。現在、カーナビの市販品は、スマートフォンのナビゲーション機能やPND(Personal Navigation Device)などによって市場が縮小傾向にあると言われている。国内では、ドライバー間で画像情報を共有できるサービス「スマートループ アイ」などの高付加価値化でブランド力を維持しながら、NTTドコモとの連携によってスマートフォンを接続できる車載情報機器を展開し、“カーナビ購入予備軍”まで顧客対象を拡大する。OEM品では、新興国市場を中心に、自動車販売店で販売されるディーラーオプション製品の事業拡大を図るとしている。
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