中国企業の米国電池ベンチャー買収を米当局が承認、1年におよぶ迷走は決着へ:電気自動車
米国の外国投資委員会は、中国の大手自動車部品メーカー・万向集団による、リチウムイオン電池ベンチャー・A123システムズの買収を承認した。2012年初頭の資金繰りの悪化から始まったA123システムズの迷走は、中国企業による買収という形で決着しそうだ。
米国のリチウムイオン電池ベンチャー・A123 Systems(A123システムズ)は2013年1月29日(米国時間)、中国の大手自動車部品メーカーである万向集団(Wanxiang Group)による、米国防衛省向けを除く自動車やスマートグリッド向けなどの非政府事業の買収が、米国の外国投資委員会(CFIUS)の承認を受けたと発表した。これにより、A123システムズは、万向集団の米国法人Wanxiang America Corporationの子会社として再スタートを切ることになる。会社形態もLLC(有限責任会社)に変更される。
今回の承認を受けて、A123システムズは、BMWのハイブリッド車(HEV)「ActiveHybrid 3」と「ActiveHybrid 5」、General Motorsの電気自動車(EV)「Chevloret Spark EV」、上海汽車(SAIC Motor)のプラグインハイブリッド車(PHEV)「Roewe(栄威) 550 plug-in HEV」とEV「Roewe E50 EV」など、これまでに受注している車載リチウムイオン電池の出荷を続けられるようになった。
二転三転していた先行きがついに決着
A123システムズは、米国大統領のバラク・オバマ氏が推進していたグリーン・ニューディール政策の一環で、米国エネルギー省(DOE)から2億4900万米ドル(約226億2000万円)の助成金を受けていた。グリーン・ニューディール政策による成長が最も期待されていた米国ベンチャー企業の1つだった。
しかし同社は、2012年初頭から資金繰りの悪化が表面化し、2012年10月には連邦破産法11条の適用を申請。万向集団と、Johnson ControlsとNECの連合が、同社の資産売却に参加していたが、2012年12月に万向集団が2億5660万米ドル(約233億1000万円)で落札していた。
米国政府によるグリーン・ニューディール政策の資金を得ていたA123システムズを、中国企業である万向集団が買収することに対して、米国内では反対意見が強まっていた。しかし、外国投資委員会が買収を承認したことにより、二転三転していたA123システムズの先行きは決着することになりそうだ。
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