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「で、それってナンボ?」に即答しつつ、予算管理の弊害を回避する方法リサーチペーパーでひも解くS&OP(2)(3/3 ページ)

モノの管理とお金の管理をつなぐS&OPプロセスと、脱予算経営ってどうつながるの? 脱予算経営との関連性からひも解いていきます。

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S&OPによる脱予算経営で何が変わるのか

 最後に、S&OPを活用して予算管理のあり方を変えていくことで、何が変わり、どのような効果が期待できるのかをまとめてみましょう。

期待される変化

予算偏重経営 S&OPによる脱予算の進んだ経営
評価指標 ・財務指標偏重評価
・財務指標間での整合
・結果指標重視
・絶対評価
・財務(一般標準)指標評価
・財務/非財務指標の複合評価
・財務/非財務含む多指標間の整合管理
・先行指標重視
・多面的評価/評価の相対化
・事業/製品の独自指標での評価
計画の考え方 ・サイクリック/周期的見直し
・期間価値(期間目標=予算)
・ローリング/随時継続見直し
・継続的価値
計画立案の主眼 ・予算を達成するかしないか
・1つの目標の達成
・自部門の目標の達成
・今後事業がどのように変化するか
・環境変化に合わせた連続的コントロール
・全体最適の施策の選択

期待される成果

「業績評価の変更による変動対応力向上・迅速化」

「予算主義=予定落着点主義からの脱皮」

  • 業績を1つのある時点の財務指標に落とし込むコントロールから、ある時点を「しのぐ」最適化より、先まで見通した構えができるようになり、変動対応力が向上する。
  • トップの意思決定の判断指標が集約され、業務詳細の権限委譲が進み、意思決定が迅速になる。

 たった1つの予算と、それを実現するためのたった1つの活動計画は危険です。きっちり積み上げて1つの予算を作り、後はパタパタと積み上げれば予算は達成しますよ、という考え方では、昨今の事業環境変化に適応することは困難です。

 財務目標のハードルを越える実行計画は1つではありません。変動対応への「備え」として、どれだけ「計画」を用意できるかが重要です。その手段としてS&OPを活用できるのではないでしょうか。

リサーチペーパーを読んで

O営業事業統括本部長

金額の単純積み上げだと、単品赤字の製品は品揃えできないって言われるけど、何とかなるかもしれない。組み合わせ受注物件の利益率なんかシミュレーションをしたいなあ。切り替えサイクルも考えると、何カ月が先までみないといけないか。

今使ってる予算以外の評価指標も目標達成したらOKだから、予算管理の問題と同じなんだ。

(Oさんの抱える課題はこちらを参照)

S生産計画グループマネジャー

調整会議の前日は、Nさんが深夜まで表計算ソフトとにらめっこして、なんだか数字いじってるのは、この問題だ。予算職人が完璧な計画を作っても、みんな中身分かってないし。

今あるリソースがどのくらい稼働して、どのくらい余力があるのか、余力を他に充当できるのか、っていう問題なら対処できるんだけど。それをシステムでROI何%とかはじいてくれれば手間も減りそうだ。

O営業事業統括本部長

事業計画も製販調整もバラバラで当てにならないと思っていたが、S&OPで両方をつなげば、現場へ指示を出すのもずいぶん楽になるし、しっかり販売戦略を練ることもできそうだ。

ただ、S&OPを実施しようとしても、さまざまな部門にも協力してもらわないと難しい………。

手始めに予算部門に話をするとして、S&OPのメリットをどのように伝えれば良いだろうか?

(Oさんの抱える課題はこちらを参照)

S生産計画グループマネジャーは……

S&OPを使用すれば、社長やO営業事業統括本部長も巻き込んで、需給方針を共有する仕組みが作れるだろう。欠品や在庫の懸念も、全社の問題として議論してもらえるので、毎月の気苦労も減りそうだ。

しかし、正しいデータに基づいて計画を立案しなければ、上司への説明ができなくなりそうだ。

(Sさんの抱える課題はこちらを参照)


編集部から

次回は企業における業績予想の重要性とS&OPプロセス導入の利点を中心に見ていきます。お楽しみに。


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