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恥ずかしい話だけれど、ウチの会社はこんな状況なんだ……S&OPプロセス導入 現場の本音とヒント(3)(1/2 ページ)

「製販調整と事業計画が連携する仕組みを作れていないのは君の会社だけではなく、多くの日本の企業が抱える問題」という同窓のP君。少し先を行くP君の理解するS&OPプロセスとはどんなもの?

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この連載について

本連載はS&OP-Japan研究会(主幹:松原恭司郎)のメンバーによる生々しい実体験を基にしたフィクションです。S&OP-Japan研究会は、日本におけるS&OP普及を目的とした非営利のグループです。企業内で日夜数字やお金、予算と計画の間の隔たりを解消すべく、S&OPプロセスの学習と実践を行っています。


今回の主筆:S&OP-Japan研究会 東政征

この物語は……

限りなく一般に起こり得る状況をイメージしながらS&OP-Japan研究会メンバーが創作した100%フィクションの物語です。特定の個人・企業・団体に関係するものではありません。



前回のあらすじ

第1回では、Sマネジャーが生産現場リーダーの立場から、製版調整会議のムダに悩み、S&OPというキーワードにたどり着いた(記事参照)。その話を営業部門のトップであるO統括部長に相談したところ、O統括部長は、ちょうど米国の大学の同窓会で、そのキーワードを友人であるP君(米国人)から聞いたばかりだったことを思い出した。そこでO統括部長はなんとか解決の糸口が得られないかと考え、相談のため昔を思い出しながら英文メールを入れてみることにしたのだった(記事参照)。

 今回はそのやりとりとP君の返答をのぞいてみよう。米国企業に勤めるP君とのやりとりは英文なのですが、ここは読みやすく日本語で追いかけてみます。


恥ずかしい話だけれど、ウチの会社はこんな状況なんだ……

 P君、同窓会で会った以来で久しぶりです。少し相談がありメールをした次第です。確か、君の会社で昨年S&OPというのを導入したと聞いたのだけれど、詳しく教えてくれるかな? 実はウチの会社では、事業計画と製販調整会議との連携がうまくいっていなくて、最終的に気力と体力で乗り切るようなやり方が常態化している状況です。

 それで、この間、君が教えてくれた「S&OP」という考えを勉強して取り入れてみたいと考えているところです。

 現状を説明すると、ウチの会社では、事業計画の目標達成に向けて四半期ごとに会議を行って、実績のレビューと今後の見通しを話し合う場があるのだけれど、結局現場から出てくる数字が最新のものではなくて、実際の売上がどうなっているのかがまったく分からない状況です。

 当然、実績に対する分析も、十分にできる状況ではないのです。

 自分がその場で代替案の検討を指示して数字を出そうとしても、部下はいつも「持ち帰って連絡します」で終わってしまう。だから、会議の場は建設的な議論などとてもできる状況じゃない。僕はとてもじゃないけれど、こんなスローな意思決定プロセスでは、これからのビジネス環境では勝ち残っていけないと感じています。

 一方の営業と生産の現場では、製販調整会議でのすり合わせに多大な時間がかかるなど多くの課題を抱えています。

 数字の把握に時間がかかり過ぎる点も何とか解消したいところだし、将来の見通しも、根性論ではなく信頼のおける数字を持っていたい。もちろん、確たる数字を基に僕としてはきちんとした指示をして、結果に結び付けたいとも思います。そういった意味で、製販調整会議そのものも、より発展的で建設的なものにできないかと考えています。

 そこで、以前P君に教えてもらったS&OPという枠組みを使えば、最新の情報で四半期会議のレビューを行えるというし、事業計画と月次の製販計画を同期化できると聞いています。より意思決定のスピードを早くできるようになるのでしょうか?

 SCM(サプライチェーンマネジメント)は自分も理解しているつもりですが、S&OPとはどういうものなのかでしょうか?

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