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この部品の品質はどれくらい? ヒストグラムで見えるもの実践! IE:現場視点の品質管理(11)(1/2 ページ)

この部品の品質はどれくらい? ヒストグラムの使い方を覚えて、生産品質を高めよう。

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⇒前回(第10回)はこちら
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ヒストグラムが有効なのはどんな場合?

 表1に示した数値は、ある機械で加工された針金の引っ張り強度(28kg±5kg)を測定したデータです。この表を見ただけでは、数多くの針金の引っ張り強度がどのような品質でできているのかよく分かりません。これを分かりやすく整理したいときに、“ヒストグラム(Histogram)”を利用して図に表すと、出来栄えの品質の姿を正しく把握できるとともに、その状況に対応した次に取るべき行動の決定を行うことができます。

 つまり、ある特性値について、多くのデータを得た場合に、これをそのまま見ていたのではどのような分布をしているのか分かりません。その分布を知るために“ヒストグラム”を作成するわけです。

 通常、グラフの横軸(X軸)に品質特性(長さ、電流値、圧力、硬度など)を、縦軸(Y軸)に度数(変数の値に該当するデータ数)をグラフにしたものを“ヒストグラム(度数分布図)”と呼んでいます。この結果を規格値(表1の例では、28kg±5kg)と照合して、その製品の品質の状態が規格に対して満足なものであるかどうかを判断するのに役立たせることができます。

ヒストグラムの目的

 統計学の狙いは、複雑なデータの裏に潜む本質を把握することにあります。そのためには、バラバラに見えている数値の集まりを整理して、視覚(図示)化することが必要です。

 例えば、現場でいろいろなデータを見るときに、データがたった1つしかないということはあまりなくて、ほとんどの場合は幾つかのデータが集まっているのが普通です。そして、これらのデータを手掛かりにして、工程や品質の管理や改善を行ってきます。このような場合に、データについて次のような特性を知ることが不可欠です。

  • これらのデータの代表する値は何か?
  • これらのデータのバラツキはどれくらいなのか?
  • 規格値と照合すると、どれくらいの不良が含まれていそうか?
  • 分布の姿からみて、工程の管理状況は良好か否か?

 ヒストグラムは上記のような情報を得るために使われます。

ヒストグラムの作成手順

 次に、ヒストグラムの作成手順について説明しますが、より理解を深めるために、事例を使って説明します。ヒストグラムは、日ごろの業務でも非常によく利用しますので、手順に沿って、事例のデータを使って何度か演習を繰り返して、身に付けていってもらいたいと思います。

(1)ある特性値についてデータを取る。データの数は少なくとも50個以上が望ましい

 例えば、ある針金の試験片50本について、その引っ張り強度を測定したところ表1のデータが得られたとします。この事例を使用して具体的にヒストグラムの作図方法を説明をしていきます。

       
28.3 S 24.8 26.3 29.8 28.6
27.5 28.5 26.8 28.2 28.2
27.7 30.5 28.1 26.5 26.8
29.1 27.1 26.9 29.9 29.7
28.7 28.7 29.0 27.7 29.4
29.0 28.8 27.5 29.5 28.3
28.4 27.8 25.3 28.0 26.0
L 30.9 29.9 26.3 29.4 28.9
27.4 27.8 26.5 27.0 27.8
28.3 27.9 27.9 27.3 27.4
表1 針金の引っ張り強度(kg)〔n=50〕

(2)得られたデータの中から、全体の最大値(L)と、最小値(S)を求める

 表1より、最大値(L)と最小値(S)は、

  • L=30.9kg
  • S=24.8kg

(3)全データの範囲(R)を求める

R=L−S=30.9−24.8=6.1

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