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無線充電の技術、誰が強いのか電気自動車(1/2 ページ)

電気自動車や携帯型機器へ、コードを使わずに電力を送る無線充電技術。研究で先行する米国企業の特許を調査会社のパテント・リザルトがまとめた。上位5団体は、他の企業を寄せ付けないほど強力な3グループを形成していた。

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無線充電の技術、誰が強いのか
特許力をグラフ化

 ケーブルを使わずに電気自動車(EV)や携帯型機器に充電可能な無線充電(ワイヤレス給電、非接触給電)技術。さまざまな方式が利用されており、一長一短がある。技術の蓄積は1990年ごろから始まっており、企業の特許力もさまざまだ。

 特許分析ソフトウェア開発や特許分析情報提供を行っているパテント・リザルトは、2012年3月9日、米国特許における無線充電技術について各社の優位性を分析した結果を一部公開した。特許ごとの注目度を重み付けして点数化する同社のパテントスコア技術を適用し、企業名別に独自の評価*1)を下している(日本特許に関する続編はこちら)。

*1) 特許の優位性は出願件数だけでは決まらない。そこで、同社独自の基準に基づいた、個々の特許に対するスコアリング(パテントスコア)で特許の質を評価した。パテントスコアとは、市場における特許の注目度を数値化した指標。特許審査官の引用が多いことや、出願した企業が権利化に対して意欲が高いこと、競合会社からの無効審判を跳ね返した実績がある場合に、高いパテントスコアを与えている。

意外な企業が上位を占める

 分析の結果、総合ランキング*2)で1位となったのは米Access Business Group(図1表1)。次いで、大学である米Massachusetts Institute of Technology(MIT)、3位は英Qualcomm、4位は米WiTricity、5位は米Powermat Technologiesだという。

*2) パテント・リザルトの発表した総合ランキングは分析母集団における平均点以上のパテントスコアの値を集計したもの。平均点で「足切り」することで、特許件数が多い企業が有利にならないようするためだという。


図1 無線充電に関する特許の優位性 特許の出願件数を円の大きさで示した。縦軸は分析母集団の平均値以上のパテントスコアのみを集計した値(総合力)を示す。横軸は最も高いスコアを得た特許の点数(個別力)を表す。パテントスコアは2012年1月時点の数値である。出典:パテント・リザルト

表1 特許総合力と出願件数 出願件数では、Access Business GroupとQualcommが多い。出典:パテント・リザルト

無線充電は3つの企業グループに支えられている

 今回分析の対象となった無線充電分野は、大きく3つに分けることができる。1つは、業界団体であるWPC(Wireless Power Consortium)が主導する電磁誘導方式を用いた「Qi」規格関連だ。主に携帯型機器への充電を目指しており、例えば「iPhone」向けに製品化が進んでいる。もう1つが、Qualcommが推す電磁誘導方式。こちらは電気自動車への適用を狙っている(関連記事)。

 3番目が、MITとWiTricity*3)が主導する磁場共鳴方式だ。こちらは自動車メーカーへの影響力が強く。トヨタ自動車や三菱自動車、IHIなどがWiTricityと提携している。米国では2010年10月に自動車部品の有力企業であるDelphiと、開発協力体制を構築している。

*3) WiTricityは、MITの研究グループから独占的な技術移転を受け、誕生したベンチャー企業。MITの技術を商品化するため、装置の設計、開発、製造、市場への普及を進めている。


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