自宅で電気自動車へ無線充電が可能に、IHIと三井ホームが開発へ:電気自動車
2011年から無線充電技術の研究開発に取り組むIHIが実証実験の段階に進む。三井ホームと共同で、「戸建て住宅+EV」という無線充電のシステム作りに乗り出す。
IHIと三井ホームは2012年2月8日、充電ケーブルを使わずに電気自動車(EV)へ充電できる無線充電技術*1)の共同開発を開始すると発表した。
*1) IHIは同技術を「非接触給電」と称する。一般にはワイヤレス充電とも呼ばれる。
開発するのは「非接触給電型電気自動車向けの戸建て住宅用充電装置」(図1)。同技術を利用すると、戸建て住宅の駐車スペースに停止するだけでEVへ充電できるようになり、ケーブルが重い、長さが足りない、取り回しが煩わしい、EVにケーブルをセットする手間が掛かるといった課題を解決できる。
IHIは2011年から無線充電技術の開発に着手*2)し、2011年11月には同技術をEVに組み込み、実際の利用状況を想定したテストを開始している(関連記事)。今回の取り組みは開発プロセスの第2段階に当たる実証試験の1つだという。
*2) 2011年3月に同技術に特化した米WiTricityと技術ライセンス契約を結んでいる。WiTricityはMITの無線充電技術を商品化するため、装置の設計、開発、製造、市場への普及を進めている企業だ。
三井ホームは戸建て住宅側を開発する。2012年春以降に新築住宅を建設し、IHIの無線充電装置を組み込む。三井ホームは宅内インフラの基準作りの他、太陽光発電システムや家庭用蓄電池、これらを管理するHEMS(Home Energy Management System)の研究と組み合わせる*3)。
今回の実証実験以降は、EV側からの送電も含めた双方向の効率的な電力供給システムの開発も目指す。
*3) 三井ホームは従来販売していた太陽光発電システムと家庭用蓄電池を組み合わせ可能な環境住宅商品「green's(グリーンズ)」を2011年4月に発表している。販売は2012年春以降。現在はパナソニック電工のHEMSを採用している。
自動車メーカーの取り組み続く
無線充電技術に対する自動車メーカーの捉え方は流動的だ。不足する充電インフラを補うといった比較的穏当な使い方を想定するメーカーから、走行中の充電も視野に入れたメーカーまで幅がある。現時点では自宅や店舗などの駐車場に設置するところから無線充電が普及すると考えられている。
トヨタ自動車(関連記事)や三菱自動車(関連記事)は、IHIが採用したのと同じ、米WiTricityの技術を利用した開発を進めている。三菱自動車は2011年9月にIHIとも協業している。
日産自動車は独自の方式を研究開発中だ(関連記事)。
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