おもちゃで解説。回転&スライドを自在に操る方法:メカメカリンクで設計しよう(10)(2/2 ページ)
リンクをうまく使えば、回転&スライドが自由自在。おもちゃの機構を見ながら、動きの変換を見ていこう。
【No.44】直交スライド機構(回転入力−スライド出力)
駆動リンクを回転(揺動)させることで、従動スライダーがスライドする構造です。
スライドジョイント部はスライダー移動方向に対して垂直方向に移動します。
【No.45】直交スライド機構(スライド入力−回転出力)
No.44と同じ構造で、入出力の関係を変えたものです。
駆動スライダーをスライドさせることで、従動リンクが回転(揺動)する構造です。スライドジョイント部はスライダー移動方向に対して垂直方向に移動します。
【No.46】直交スライド機構(スライド入力−スライド出力)
駆動スライダーを押し下げることで、従動スライダーが駆動スライダーと直角方向に移動する構造です。
直角方向に荷重を伝達するため、機械効率が駆動力に大きく影響します。互いに接する面の傾斜角度と摺動(しゅうどう)部の摩擦係数に留意して設計しなければいけません。
同じ構造を利用したミキサーのおもちゃでの使用事例を紹介します。
ミキサーのレバーを押し下げると、スライダーが右側に水平移動し、その先にある歯車を回してミキサーの羽根が回転します。
本品を実際に操作してみると、直交スライド機構部の互いに接する面の傾斜角度が45°であるため、レバーを押し下げる力の半分がスライダーを下に押し付ける力になります。互いに接する傾斜面や水平方向に移動する接触面は滑り構造になっており、摩擦抵抗が大きく、強い力でレバーを押す必要があります。
今回のまとめ
四節リンクを使って「回転入力→スライド出力」「スライド入力→回転出力」「スライド入力→スライド出力」と多彩な動作を実現させることが分かりました。この連載では何度も出てきた思案点と機械効率に注意することが、リンク機構を設計する上で重要なポイントであることが分かるでしょう。
次回は最終回です。ユニークな機構をピックアップして、それらの特徴を確認しましょう。(次回に続く)
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