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スライダー穴を工夫して、計画通りの動作でニヤリメカメカリンクで設計しよう(9)(2/2 ページ)

リンクとスライダー、どちらから操作しても狙った動作ができる機構、動作を止めたいところで止める機構の紹介。計画通りの動きに、ニヤリとしよう。

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【No.38】スライダーの長穴を利用した可逆回転クランク

 スライダーの長穴を傾けることによって、スライダー側から入力することで回転リンクを動作させる機構となります。No.37の機構が持つ可逆特性による動作です(No.37の図は、同様の形状の部品で、リンクが入力、スライダーが出力となっています)。

スライダーの長穴を利用した可逆回転クランク
図7 スライダーの長穴を利用した可逆回転クランク

ポイント

 可逆特性の有利な面は、イレギュラーな操作によって出力側から入力を受けた場合、動作がロックされないのでリンク機構が破損しないことです。特に、人の操作が絡む機構では大変有効です。



【No.39】スライダーの変形穴を利用したクランク機構

 No.36、No.37と同様に、駆動リンクを回転することによって、スライダーを平行移動させる機構です。スライダーの穴を単純な直線構造にするのではなく変形穴にすることで、動作に変化を出しています。

スライダーの変形穴を利用した回転クランク
図8 スライダーの変形穴を利用した回転クランク

【No.40】スライダーの変形穴を利用した可逆回転クランク

 スライダー穴を変形穴にすることで、スライダーの動きに変化を出し、スライダー側から入力したときのリンク動作は止めずに回転させる機構です。No.39の機構が持つ可逆特性による動作です(No.39の図は、同様の形状の部品で、リンクが入力、スライダーが出力となっています)。

スライダーの変形穴を利用した可逆回転クランク
図9 スライダーの変形穴を利用した可逆回転クランク

今回のまとめ

 今回のスライド構造で特徴的なのが、連続した回転入力に対してスライダーがいったん停止する機能と、スライダー側からも入力動作できる可逆特性です。可逆特性については前回の記事でも言及した「機械効率」をうまく利用したものといえます。設計する際に、機構を動かすことだけに着目するのではなく、イレギュラーな操作によって出力側から入力されたときに機構をロックさせたいのか、逆にロックさせないのか、設計思想を明確にする必要があります。



 次回も、その他のスライド構造を組み合わせた四節リンク機構の特徴を確認しましょう。(次回に続く)

Profile

山田 学(やまだ まなぶ)

1963年生まれ。ラブノーツ代表取締役、技術士(機械部門)。カヤバ工業(現、KYB)自動車技術研究所で電動パワーステアリングの研究開発、グローリー工業(現、グローリー)設計部で銀行向け紙幣処理機の設計などに従事。兵庫県技能検定委員として技能検定(機械プラント製図)の検定試験運営、指導、採点にも携わる。2006年4月、技術者教育専門の六自由度技術士事務所を設立。2007年1月、ラブノーツを設立し、会社法人(株式会社)として技術者教育を行っている。著書に『図面って、どない描くねん!』『読んで調べる 設計製図リストブック』(共に日刊工業新聞社刊)など。



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