EV150万台やプラグイン型、日産自動車が2016年度までに6種類を発売:電気自動車(2/2 ページ)
3種類の新EV、新HEV、PHV、FCV……。日産自動車は環境対応車のラインアップを充実し、ゼロエミッションカーで世界ナンバーワンを狙う。燃費向上や二酸化炭素排出量削減の数値目標も掲げた。
燃費向上はHEVやPHEV、CVTで実現
EV関連のもう1つの目標は、企業平均燃費を向上させることだ。
燃費については数値目標を挙げた。日本や北米、欧州、中国で販売する日産車の企業平均燃費*4)を2005年度比で35%改善させる。3種類の技術を使って実現する。
第1に、前輪駆動(FF)のHEV(ハイブリッド車)を2013年に投入する(図5)。2010年11月に発売した「フーガ ハイブリッド」はプロペラシャフトを備えたFR車だ。
*4)米国のCAFE(Corporate Average Fuel Economy)、欧州のNEDC(New European Driving Cycle)、日本のJC08などに対応する。
図5A フーガ用の二次電池モジュール。HEV(フーガ)とEV(リーフ)では二次電池に要求される特性が異なる。HEVは二次電池だけで走行できる距離が短くてもよい。そのため、体積当たりのエネルギー密度(重量当たりのエネルギー密度)は低くてもよいが、単位時間当たりに取り出せるエネルギー(パワー密度)が高くなければならない。図5Aのフーガ用二次電池モジュールは、図2Bのリーフ用と比べて、エネルギー密度は約3分の1だが、パワー密度は2倍ある。負極材料の違いがこのような特性の差を生む。フーガ用は負極材にアモルファスカーボンを、リーフ用はグラファイトを用いた。
図5B リーフ用の二次電池モジュール。図5A、図5Bともオートモーティブエナジーサプライが製造したラミネート型二次電池セルを複数枚内蔵している。フーガ用はハイパワータイプの8セルを直列に接続し、リーフ用はハイエネルギータイプのセルを2直列2並列にした。
燃費向上のための第2の策は、家庭用電源などで充電できるPHEV(プラグインハイブリッド車)を新規開発し、2015年に発売することだ。第3に次世代エクストロニックCVT*5)を投入して、CVTの累計販売台数を2000万台にする。
*5)CVT(Continuously variable transmission)とは、2つのプーリーを金属製のベルトを使って結び付けた無段変速機。ギアは使わない。日産自動車のエクストロニックCVTは、プーリー比変更に用いる油圧を、電子制御したことが特長。2011年10月に開催した先進技術説明会ではFF車用ハイブリッドシステムと並んで、新世代エレクトロニックCVTを公開した。
CO2削減と再生材利用
NGP2016に掲げた残りの2つの目標は、以下の通りだ。
- 企業活動によるCO2の排出量を2005年度比で平均20%削減(1台当たり換算)する。
従来の生産拠点に加えて、物流やオフィス、販売会社まで拡大して削減率を定める他、再生可能エネルギーを生産関連の施設やオフィスにも導入する(図6)。
図6 CO2排出量の削減目標 自動車1台当たりに排出するCO2量を2005年度比で20%削減する。スペインの拠点では太陽光発電との組み合わせを、英国の拠点では風力発電との組み合わせを実現している。出典:日産自動車
- 新車の再生材利用率を25%(1台当たり)に高める。
材料生産から使用済み自動車回収までのバリューチェーン全体で再生材を採用し、レアアースの使用量を削減する。
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