「燃料電池」「非接触充電」「住宅への給電」、日産自動車が先進技術を公開:電気自動車(2/2 ページ)
日産自動車は先進技術説明会を開催し、将来の電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)などに搭載する技術の概要を見せた。今回はFCV用燃料電池スタックの技術開発が大きく進んだ印象だ。非接触充電や住宅への給電(V2H)技術の具体的な姿も明らかになった。
リーフで見せた非接触充電技術
同社は非接触充電技術を2009年に公開、その後も技術開発を続けてきた。今回公開したものはリーフ用に仕様を合わせ込んだ試作品だ(図5)。給電技術として電磁誘導方式を採用している(図6)。普通充電器として利用できるもので、出力は3〜6kWだ。製品化時期は未定だが、2〜3年後がめどと見られる。
図6 非接触充電システムの構成 地上に設置した送信ユニットと車内に搭載した受電ユニットの間で電磁誘導を使って電力を送る。「2つのユニットの位置合わせに課題があるため、車載受電ユニットの位置は今後、変更する可能性がある」(日産自動車)。出典:日産自動車
「効率は80〜90%に達する。今後も、電磁誘導方式に必要な位置合わせ技術の開発を継続する」(日産自動車)(図7)。
図7 電磁誘導を利用した電力伝達の仕組み 地上コイル(下)に電流を通じると、磁界(青い矢印)が発生し、車載コイル(上)に電流を発生させる。2つのコイルの位置を正確に合わせるほど効率が向上する。出典:日産自動車
太陽光とリーフを組み合わせる
日産自動車は、リーフを家庭用電源として利用するための「LEAF to Home」電力供給システムの開発を急いでいる。2011年度中にも販売を開始するためだ。リーフの内蔵電池の容量は24kWhであり、これは一般家庭の消費電力量(10〜12kWh/日)の2日分に相当する。「LEAF to Home」電力供給システムが完成すれば、リーフを中心としたスマートハウスが実現する。
同社は2011年8月にも「LEAF to Home」電力供給システムの試作品を公開している。8月時点の試作品からの改良点は、太陽光発電との組み合わせにある。8月時点では太陽光発電と組み合わせた利用はできなかったが、今回、太陽光発電から電力を受け、リーフに充電し、夜間の電力需要に利用できる。充電時には太陽光発電の出力する電力量に応じて、リーフに充当する電力量を制御できる。
住宅の分電盤に電力制御装置(PCS:Power Control System)を接続し、PCSとリーフの急速充電コネクタをつなぐ。PCSの出力電力は最大6kW(図8)だ。
図8 「LEAF to Home」電力供給システムの構成 図右には主な電機製品の消費電力をグラフで示した。例えばエアコンは1500W、テレビは150Wである。洗濯機を除く7種類の機器を同時に使っても、5kWで十分なことが分かる。図左は配電盤を中心とした接続状態を示した。太陽光発電(パワーコンディショナー経由)と系統電力(配電盤経由)、リーフ(PCS経由)の3種類の電力源を住宅内で利用できる。電力制御装置(PCS)の仕様は出力6kW、正弦波PWM方式を用い直流と交流を相互変換する。系統側への出力は単相3線式200Vだ。利用前にリーフに専用プログラムをインストールする必要がある。出典:日産自動車
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