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燃料電池車量産を4年後に控え、燃料電池が伸びる電気自動車

家庭用定置型(エネファーム)と燃料電池車、モバイルの3つが燃料電池の主な用途だ。燃料電池の普及量は触媒の出荷量から推定できる。田中貴金属工業が公開したデータから、2010年は、エネファーム、次に燃料電池車の研究用途が広がったことが分かった。

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 燃料電池の成長が著しい。特に水素などを燃料として100度以下の低温で動作する固体高分子形燃料電池(PEFC)の普及が進んでいる。用途としては家庭用燃料電池「エネファーム」が主力であり、今後は燃料電池車(FCV)に期待が掛かる。

 PEFCは低温で動作するため、Pt(白金)を中心とした触媒が必要不可欠だ(図1)。逆に言えば触媒の出荷量から、燃料電池の普及度合いを推定できる。

 燃料電池用触媒分野でシェアが最も高いと主張する田中貴金属工業によれば、2010年度(2010年4月〜2011年3月)の触媒出荷量が過去最高を記録したという。同社は家庭用燃料電池向けと、燃料電池車向けの出荷量の推移をそれぞれ公開した。「利用する触媒の量は燃料電池車の方が多いが、燃料電池の台数では家庭用燃料電池の方が圧倒的に多い。このため、総出荷量の過半数を家庭用が占める」(TANAKAホールディングス)。

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図1 燃料電池用触媒 Pt(白金)を炭素で支える(担持する)構造をとる。粉末触媒(左)の外観と透過型電子顕微鏡像(右)を示した。Ptは黒い粒のように見えている。担持量は50%である。

 家庭用燃料電池向けの出荷量は、エネファームの販売数量が伸びた2009年度の出荷数量の1.38倍に達するという(図2)。節電意識の高まりの他、2011年内に小型で安価なエネファームの新機種が登場することから、2011年度の出荷量も引き続き伸びが期待できるという。

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図2 燃料電池用触媒の用途別出荷量の推移 総出荷量(青)は、家庭用(空色)と自動車用(白)の他に、モバイル用途を含む。2004年度の年間出荷量を100とした指数で示した。

 トヨタ自動車と日産自動車、本田技研工業は、国内市場向けの燃料電池車の量産を2015年に予定している。例えばトヨタ自動車は走行ルートが比較的一定している長距離トラックやバスといった燃料電池車を計画する。

 量産が4年後にせまっているため、燃料電池車向けの研究開発用触媒の出荷量は今後とも伸びる傾向にあるという。2010年度は前年度比で22%増加した。


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