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【ETWest2011】組み込み技術の最新トレンドが凝縮!! 関西版Embedded Technology展を見てきた組み込みイベントレポート(1/2 ページ)

2011年6月16、17日の2日間、インテックス大阪で「Embedded Technology West 2011/組込み総合技術展 関西」が開催された。本稿では、ETWest2011会場で筆者が注目した展示デモの模様を中心にレポートする。

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 2011年6月16、17日の2日間、インテックス大阪で「Embedded Technology West 2011/組込み総合技術展 関西(以下、ETWest2011)」が開催された(主催:社団法人 組込みシステム技術協会)。

 本稿では、ETWest2011会場で筆者が注目した展示デモの模様を中心にレポートする。


ETWest2011が行われたインテック大阪
画像1 ETWest2011が行われたインテック大阪(入口付近)

組み込み技術の最新トレンドが凝縮!! 関西版ETに初潜入

 言うまでもないが、毎年秋にパシフィコ横浜で開催される「Embedded Technology/組込み総合技術展」の“関西版”が今回紹介するETWestだ。会場規模こそパシフィコ横浜に及ばないものの、国内を代表する“組込み総合技術展”の流れをくむだけあって、多くの出展社とさまざまなテーマを掲げた専門カンファレンスが非常に充実していた(ちなみに、@IT MONOist編集部でETWestを取材するのは今回が初めてとなる)。

ETWest2011展示会場の様子
画像2 ETWest2011展示会場の様子

上肢障害者用「食事支援ロボット」

 筆者が最初に注目したのは、展示会場入り口付近で人だかりを作っていたコアのブースだ。

 同社は、GPSやセンサー、通信などの各種組み込みソリューションの他、パートナー企業などが手掛ける開発環境/ミドルウェアなどを所狭しと紹介していた。その中で、ひときわ異彩(!?)を放っていたのが、「食事支援ロボット」だ。というのも、今回のETWest2011会場全体を見渡してみても、ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(通称:ETロボコン)の紹介ブース以外で、ロボットを展示している企業は数えるほどしかなく、コア 九州カンパニーが手掛ける同ロボットは、“食事支援”というそのコンセプトからも特に目立っていたように思う。

コアが展示した「食事支援ロボット」(1)
画像3 コアが展示した「食事支援ロボット」(1)

 同ロボットの果たす役割は、上肢障害者の食事支援だ。「食事は自分のペースで食べるのが一番おいしいはず。また、食事以外の身の回りのお世話もしている家族やヘルパーさんなど介護する側の助けにもなる」(説明員)という。もともと同ロボットは、山口大学大学院 理工学研究科 教授 田中幹也氏の研究がベースとなっており、現在、ロボット産業振興会議の助成を受け、同社と山口大学、コアの関連会社である医療福祉工学研究所(山口大学 工学部 ビジネス・インキュベーション棟内にある)との共同研究で開発が進められているものだ。

プッシュスイッチレーン、プッシャーアーム 画像4 コアが展示した「食事支援ロボット」(2)

 現在、第1次試作機とのことで、「食べる」「飲む」「緊急停止」の3種類のプッシュスイッチを搭載し、これらを足で踏むことで飲食(操作)が可能となる。本体には、一口大に小分けした料理を置くレーン(皿)と、皿からスプーンへ料理を押し出すプッシャー、そして、料理を口元へ運ぶスプーンが搭載されている。さらに、右側にアームとその先端にコップが付いており、飲み物スイッチを踏むたびにアームの角度が変わり、手を使わずに飲み物を飲むことができる。

 試作段階であるため、製品化に向けてはさまざまな課題はあるが、今後、ユーザーインタフェースの拡充(音声入力、視線入力、瞬き入力など)やデザイン面の改善などを図っていく計画だという。ちなみに、「ご飯や納豆など粘着性のある食べ物や豆腐のような崩れやすいものでも口元まで運ぶことができる」(説明員)とのことだ。


低コスト化と利便性向上、音声/動画再生ミドルウェア

 同じくコアのブース内に出展していたのが、CRI・ミドルウェアだ。同社が展示デモしていたのは、ETWest2011開催前日にリリース(関連記事)したばかりの、サウンド/ムービー再生を低コストで実現するミドルウェア製品「D-Amp Driver(ダンプドライバー)」「かるイイ音(ね)」「かるエエ像(ぞ)」の3つだ。

 同社は、家庭用ゲーム機のソフトや業務用ゲーム機器といったエンターテインメント分野で音声/動画関連のソリューション(総称:CRIWARE)を提供し、発展してきた企業だ。ゲームソフトのパッケージの裏に「CRIWARE」と記載されているのを見たことがある読者もいるのではないだろうか。同社は、こうしたエンターテインメント分野で長年培ってきた技術を組み込み分野(各種組み込み機器)でも広く展開しようとしている。

 展示されていた3つのミドルウェアは、比較的ローエンドなマイコンを搭載する組み込み機器をターゲットにした製品。D-Amp Driverは、アンプやローパスフィルタなどの外部回路部品を使わずに、マイコンのPWMと安価な汎用FETだけでサウンド出力を実現するミドルウェアだ。「外部部品の削減による低コスト化をコンセプトにした製品。ローエンドマイコンでも、PWMによるクリアなサウンド出力を実現できる」(説明員)とのことだ。

「D-Amp Driver」のデモ
画像5 「D-Amp Driver」のデモ

 一方、かるイイ音は、ROMの中にある圧縮された音声データを展開しながら再生することが可能なミドルウェア。「マイコンの外からのトリガーで、複数音を同時再生(3音程度まで)させたり、サイレンのように繰り返し音を再生(シームレス再生)させたりすることが可能だ」(説明員)。また、マイコン上での動画再生を実現するのが、かるエエ像だ。「かるイイ音よりも多少性能の良いマイコンが必要になるが、これまで動画再生が困難とされていたマイコン搭載機器でも、複数動画の同時再生などを実現できる」(説明員)という。

 同製品群により、ローエンドなマイコンでも、音声や動画再生が可能になるため、例えば、ビープ音とLEDの点灯パターンで“どのエラーか”を知らせていたような白物家電―― 洗濯機などが何かのエラーで止まると、LEDとビープ音でその内容をお知らせしてくれるが、大抵の場合、そのパターンだけでは判断できずに、押し入れからマニュアルを引っ張り出す……。そんな経験をしたことのある方は多いのではないだろうか ――でも、音声ガイダンス(場合によっては動画)で的確にエラー内容や対処法を伝えることが可能になる。

関連リンク:
CRI・ミドルウェア


鉄道模型・映像インタフェースシステム

 展示ブースの前面で鉄道模型を走らせていたのが、三菱電機マイコン機器ソフトウェアだ。同社は、三菱電機の情報通信・画像映像分野における組み込みソフトウェア/ハードウェア開発の中核を担うパートナーとして設立された企業だ。

「鉄道模型・映像インタフェースシステム」(1)
画像6 三菱電機マイコン機器ソフトウェアの「鉄道模型・映像インタフェースシステム」(1)

 一見すると、単に2台の鉄道模型をグルグルと走らせているだけのように思えるが、「鉄道模型・映像インタフェースシステム」と題したこのデモは、線路上に設置された磁気センサーで車両の位置を読み取り、車両同士がスムーズに走行できるように制御。磁気センサーで読み取った車両の位置情報を基に、車両同士がぶつからないよう停止させたり、レールを切り替えたりといった制御を実現している他、読み取った位置情報をシーケンサーに送り、それを基にFlashで視覚的に表示(タッチパネル搭載ディスプレイに)させていた。「今回のデモでは、鉄道模型をデジタル信号で遠隔制御できるDCC(Digital Command Control)制御方式を採用している」(説明員)という。

「鉄道模型・映像インタフェースシステム」の概略
画像7 「鉄道模型・映像インタフェースシステム」の概略
線路上に設置された磁気センサーシーケンサータッチパネル搭載ディスプレイにFlashで表示 画像8 「鉄道模型・映像インタフェースシステム」(2)


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