設計で使える! 甚さんの材料特性データ:甚さんの「技術者は材料選択から勝負に出ろ!」(1)(4/4 ページ)
材料選択でいつも頭を悩ましている方へ。甚さんが、設計で使える職人アイテム「材料特性データ」を公開!
もっと極端に言えば、EV車を含む電子機器の場合、「SUS304」に熟知すれば、全図面の32.3%が設計できるといえます。皆さんの会社がこれに合致するか否かではなく、同じ要領で分析することが重要です。
★目利き力ポイント:EV車を含む電子機器の企業では、「SUS304」の材料だけで、全部品の32.3%を占める。
甚さん! この分析はすごいですね。学問と実務の相違を理解できました。
その通りだ。学問なき実務知識は、砂上の楼閣だ。逆に、実務知識無き学問では飯は食えねぇってもんだ。
ところで、甚さん! 僕は確かに図面読めない、描けない院卒だけど、CAEが得意なことは、いままでも自慢させていただきました。
また、それかぁ。どこの国にCAEだけで飯を食っているやつがいるんだ。
どうせオメェもそうだろうが、やらなくていい箇所にCAEを実施してるんだろうがぁ。あん? この時間稼ぎめ!
ん〜ん! ……図星……。
でもよぉ、オメェらCAE屋にとっておきのデータ集を提供してやらぁ。ただし、ランキング上位だけだ。余計な材質の特性データまで要求するな! じゃ、いまからいくぜぃ!
次に示す表1、表2の衝撃的データは、CAEには欠かせない材料特性データです。ただし、甚さんも言っていたように、ランキング上位の材料特性表です。設計する際に必要な情報を厳選し、あまり使用しない情報はあえて記載していません。
また、表中の「コスト係数」をはじめ、各用語は次回以降で解説します。
甚さん! このデータはCAE技術者が追い求めていたデータ集ではないでしょうか。ありがとうございます。
良君! 被災地に向かって「頑張れ!」ではなく、まず、オメェが、頑張れ! それは、やがて、被災地につながる。次回も絞るぞ!
Profile
國井 良昌(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会 幹事、埼玉県技術士会 幹事。日本設計工学会 会員。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。
1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。Webでは「システム工学設計法講座」を公開。著書に「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)がある。
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