プラレール電車を「断面急変」で切る!:甚さんの設計サバイバル大特訓(9)(2/3 ページ)
最終回では、いままで学んだ設計サバイバル術が身についているか、テストで確認。身についていないと甚さんのゲンコツが……。
できねぇ奴は、いますぐエリカちゃんと交代、交代〜っ!!」
甚さん、どうですかぁーっ! フーンッ! こんなの当然、全問正解っしょーっ!
甚さんの樹脂設計に関する設計サバイバル術:理解度テストの解答
解答1
断面急変部を回避することだ!(第1回 3ページ目参照)
解答2
樹脂加工:樹脂部品は、形状も状態も大変身するからよぅ、設計や加工が難しいんだ (第2回 2ページ目の図3を参照)
解答3
分かんねぇとはいわせねぇ! この5つ!!(第2回 3ページ目の図6を参照)
- Rの設置
- リブの設置
- スロープの設置
- テーパの設置
- 連続した断面
- 加工側とのルール
解答4
記事タイトルにもなってただろがーっ! (第3回の1ページ目参照)
- ケミカルクラック
- ウェルドライン
解答5
板金部品、樹脂部品、切削部品 の低コスト化と最適化設計。つまり、設計センスを身に付けることだ(第4回の2ページ目 表1参照)
樹脂製おもちゃの電車の断面急変とその設計対策
図1は、筆者設計の樹脂製「おもちゃの電車」です。世間では、タカラトミー社の「プラレール」が有名です。この「プラレール」は、その電車、貨車、レール、駅、高架レール、高架用支柱、踏み切りなど、どれ1つ取っても樹脂設計における「お手本」の超優等生です。VTRテープの次に購入していただきたいと思います。
今回、「プラレール」の名前やそのものを題材にできませんので、名前は「樹脂製おもちゃの電車」、そして、図1以降、すべての図は3次元CADによる筆者の設計を使用しています。ご理解ください。
これを大ざっぱですが、XYZの3方向で断面を取ってみましょう。また、誌面の制約上、連続スキャンの断面ではなく一部の断面を表示します。
まずは、樹脂設計では必須のZ方向に関する断面急変部の探索スキャンを図2に示します。
なぁるほど! 前回の最後に、『3次元CADの選択は、安価でシンプル、しかし、アセンブリ(組み立て体)の360度方向から断面が自由に切れる3次元CADを選択すべき!』と記載されていましたね。
そうだ、どうせオメェも『豚に真珠、猫に小判』だろが? あん?
それは、ないっスよ、甚さん! 僕は、富士山麓大学大学院を主席で卒業してんスよ。CAEは得意中の得意なんですから!
Z方向の断面急変部に関する探索スキャンを施した図2において、設計上の懸念点を下記に示します。
- 断面急変1:窓の内側四隅に「R」を設けた方が良いかも。
- 断面急変2:本来、X方向断面で発見できるが、このリブは断面急変を回避している。
- 断面急変3:セオリーどおり、Z方向に格子状のリブを設けている。
べらんめぇ! CAEが得意だとぉ? オメェなぁ、あのなぁ……、機械設計者がCAEだけでメシ食えると思ってんのかよ! あん?
どうせ、僕は『図面描けない、読めない』の院卒ですとも。専門学校卒のエリカちゃんにはかないません。トホホ……。でも、挽回中です!
次に、Y方向に関する断面急変部の探索スキャンを開始します。
Y方向の断面急変部に関する探索スキャンを施した図3において、設計上の懸念点を下記に示します。
- 断面急変4:ここに応力が集中するので、窓の内側四隅に「R」を設けた方がいいかも。
- 断面急変5:電極板と樹脂の取り付けの根元。ここが折れやすいので、樹脂側の根元に「R」が必要かも。
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