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競合他社の戦略を読み解くパテントマップ〜知的財産権情報の分析とビジュアル化自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識(5)(1/4 ページ)

自社だけでなくライバルの研究開発動向まで分かっちゃうパテントマップってどんなもの? 分析方法の基本を一気に理解しちゃいましょう

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製品開発の戦略作りには技術特許のルールや、技術情報活用の利点を理解しておくことが重要。本連載では知的財産権にかかわるトラブルへの対処法から、特許技術情報を基にした戦略構築の手法までを紹介する(編集部)

前回の復習

 皆さん、こんにちは。日本技術貿易の野崎です。「自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識」の第5回を始めたいと思います。

 自社の知財戦略を立案するためのスキルを身に付けるために「技術者・研究者向け 現場で役立つ特許調査・分析スキル」セミナーに参加したロボットアーム工業の地西(ちざい)さん。1日目(連載第4回)は主に特許検索スキルについて学びました。2日目の今日は特許分析スキルについて学ぶことになっています。

◇ ◇ ◇

〜〜さて2日目のセミナーが始まったようです。〜〜

講師

皆さん、おはようございます。「技術者・研究者向け 現場で役立つ特許調査・分析スキル」の2日目を開始したいと思います。1日目は知的財産権調査の中でも、特に特許調査に焦点を絞って説明しました。

2日目の今日は、知的財産権情報、特に特許情報の分析方法とビジュアル化について解説していきますが、分析・ビジュアル化を行うためには特許検索のスキルが前提となります。

チザイさん

よ〜し、今日は特許分析か。ロボットアーム工業の知財戦略立案には欠かせないスキルだな。しっかりと学ぼう。

講師

前回説明したと思いますが、知的財産権調査の目的には大きく2つありました。復習のために質問してみたいと思います。この2つについてどなたか答えていただけますか?

参加者

ハイ、競合他社の知的財産権を侵害していないか確認するための調査と、競合他社の情報を収集するための調査だったと思います。

講師

そのとおりです。今日、皆さんに学んでいただく特許分析スキルは、主に後者の目的“競合他社の情報を収集するための調査”を達成するために必要なスキルです。

競合他社がどのような研究開発を行っているのか、その技術の完成度はどれくらいか? 別の企業と共同研究開発をしていないか? いったいどれくらいの研究開発人員を投入しているのか? 開発のキーマンは誰か? などなど、自社の戦略立案に欠かせない競合他社動向を把握するために必要となるスキルなのです。

知的財産権情報ですべてが分かるわけではない

講師

もう1つ質問したいと思います。競合他社の情報は特許・意匠・商標といった知的財産権情報から把握できます。ほかに競合他社の状況を把握できる情報源には何があるでしょうか?

チザイさん

技術的な情報源であれば技術論文・学会誌や専門雑誌などがあると思います。あとは新聞や新製品情報などでしょうか。

講師

そうですね。ほかには企業がWebサイトなどで公表しているアニュアルレポートや中期経営計画なども参考になります。また上場企業であればEDINETで有価証券報告書を見ることができますので、こちらも参考にするといいでしょう。

ここで注意していただきたいことがあります。今日学んでいただく知的財産権情報、特に特許情報というのは競合他社の情報源の1つにすぎません。よって知的財産権情報を分析すればいろいろなことが分かるのは事実ですが、競合他社のすべてが分かる! と思ってはいけません。

チザイさん

質問があります! 企業は研究開発活動の成果をすべて特許などの知的財産権として出願・権利化するものなのでしょうか?

講師

非常に良い質問ですね。それはケース・バイ・ケースです。業種や技術分野、その技術の進展度合いなどによって異なります。一概に特許出願・権利化すればいいというものではありません。コカ・コーラのレシピのようにノウハウとして秘匿(とく)しておくことで、長期にわたる競争優位性を築くことも可能です。


参考:役立つ情報が詰まった有価証券報告書

 有価証券報告書はあまり見る機会がないかもしれませんが、競合他社の研究開発状況や設備投資状況を把握するための情報がまとまっているいい資料です。著者は有価証券報告書の以下の項目をよく参考にしています。

第一部
  第2-5 経営上の重要な契約等
  第2-6 研究開発活動
  第3 設備の状況


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