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上司のOKを取りにいく。必要なのはこの2枚技術系男子のための企画&プレゼン講座(1)(4/4 ページ)

モノづくりエンジニアの努力はなぜ評価されない? モノをいう、組織を動かすエンジニアになるための必須要件「プレゼン力」を基礎から身につけよう

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企画書作成のABCの「C」:聞かれる前に疑問に答える

 1ページ目が狙いどおりに作成できれば、企画書は8割方完成したといえます。2ページ目は、1ページ目で「やってみよう」という気持ちになった意思決定者が、次に思い浮かぶだろう疑問に答えるページです。

企画書2ページ目の役割

 ここでは汎用的な4つの項目をご紹介しますが、意思決定者の立場に立って考えたときに、もし、ほかの疑問が優先的に浮かぶようであれば、その疑問に対して答えられるような項目に変更してご使用いただければと思います。

 以降では、ここに示した汎用的な項目のそれぞれについて、書き方を紹介していきます。

図4 企画書の2枚目の例
図4 企画書の2枚目の例
ここでは汎用的な項目を紹介しているが、テーマによって項目はさまざまになるはずだ。マネジメント担当者視点での不安要素を払拭(ふっしょく)するという目的に沿った項目を簡潔に用意しよう

2ページ目(5)「必要なリソース」の書き方

 企画書作成の際に忘れがちなのが、作業に必要なリソースがどれくらいか、という視点です。このパートでは、活動にどの部署の人員が、どのくらいの時間必要かを記載します。

 厳しい経済環境の中、社内のリソースをいかに有効に使うかは、管理者の大きな関心事になっています。また、他部署の協力を得たい場合、意思決定者はその部署の管理者に対し、リソースを使わせてもらえないかと打診を行うことが考えられます。

 ここで必要なリソースを明示することで、今回の成果が投入するリソースに対して意味があるのかという管理者としての判断がしやすくなりますし、承認に当たって事前に誰の確認を得るべきかが分かりやすくなります。

必要なリソースの書き方
必要なリソースの書き方

2ページ目(6)「コスト」の書き方

 システム開発費や、設備の購入費など、施策の実現に当たり、新規に投資が必要な場合には必ずコストを記載します。すでに取っている見積もりがあればベストですが、そうでなければ算出条件とともに概算価格を明示しましょう。意思決定に当たっての最大のポイントは、費用対効果です。先の達成目標が金額で算出されていると、意思決定者もこの投資は効果的か、判断が容易になります。企画書を提出する前に、ぜひ自分でも掛ける費用に対して効果はどうか、算出してみてください。効果が薄いと感じれば、施策を練り直してより高い目標設定するか、コストを下げることができないか考えることが必要です。定性的な効果を強く打ち出す、という方策もあります。この費用対効果が高いということが示せれば、企画に対する障害はまずなくなるでしょう。

2ページ目(7)「関係部署」の書き方

 今回の施策を実施した場合に、多少なりとも影響を受けそうな部署を記載しておきます。実際に取り組みが始まると、協力を仰いだり、情報提供をしたりすることが発生する部門となります。このため、複数の部門をまたぐような企画の場合、部門長会議などで、この企画について情報共有が行われることが想定されます。

 この項目の付随的な効果としては、アピールすることがあまり得意ではない技術系男子でも、部門を超え、自然な形で「存在感」を出すことができるということがあります。

2ページ目(8)「特記事項」の書き方

 実施に当たってのリスクや制約事項が見えているなら、隠すことはせずにここに記載しておきましょう。特に特記事項として補足すべき内容がなければ、このパートはぜひ熱意を伝える場として活用しましょう。「絶対にこの企画をやり遂げる」という思いが伝われば、「あいつに任せてみよう」と、意思決定者のサポートしたい気持ちも高まるものです。

今回まとめ:思い付いたら企画書を作るべし

 企画書の重要性と書き方についてご紹介してきましたが、意外に簡単だな、と思っていただけたのではないでしょうか?

 企画書は、掛ける労力に対して効果の高い、いわば費用対効果の非常に高いツールです。やってみたいアイデアがあれば、まずは企画書に落としてみることで、企画の穴なども見えてきます。ぜひご活用ください(次回へ)。


筆者紹介

五葉コンサルティング株式会社 代表取締役 楊典子 氏

外資系コンサルティングファームにて大手自動車、機械、部品、消費財メーカーなど、多くの製造業のサプライチェーンマネジメント改革プロジェクトにて、コンサルティングに携わる。

外資系医療機器メーカーにてシックスシグマを学び、業務プロセス改革、シックスシグマの展開、経営品質管理を行う。その後、五葉コンサルティング株式会社を設立し、代表取締役に就任。

【主な資格】物流技術管理士、SAP社SCM認定コンサルタント、シックスシグマグリーンベルト、アクションラーニングコーチ、中小企業診断士


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