上司のOKを取りにいく。必要なのはこの2枚:技術系男子のための企画&プレゼン講座(1)(3/4 ページ)
モノづくりエンジニアの努力はなぜ評価されない? モノをいう、組織を動かすエンジニアになるための必須要件「プレゼン力」を基礎から身につけよう
企画書作成のABCの「B」:「やってみたい」と思わせる
先のステップで企画書のストーリー、骨子が決まったら、いよいよ企画書の作成です。企画書というと、アイデアをすべて伝えようと、時間をかけて分厚い企画書を作る方も多いのですが、「企画の承認をもらう」という目的に対しては、あまり効率的とはいえません。
思いの丈より「4つの項目」を盛り込め
企画書は、A4用紙2枚で、十分に心を動かすものを作ることができるのです。
技術系男子の皆さんの中には、自分の考えを正しく理解してもらうため、なぜその結論に至ったかを緻密に相手に伝えたくなる方も、少なくないと思います。しかし、経営層に近い意思決定者ほど多くの判断事項を抱えていて、1つずつの案件を詳細に確認する時間などなくなってきます。そこに大量の情報を提供しても、ほとんど読まれることはなく、たいていは口頭で
「で、どうなの? これ」
と説明を求めることになります。
質問に答えるのが自分であればまだいいのですが、あまり内容を理解できていない上長が答えるとなると、承認される確率はガクンと下がります。このようなリスクを回避するためにも、直接的に考えを伝えられる、簡潔な企画書が重要となるのです。
企画書1ページ目の役割
企画書の1ページ目の役割は、意思決定者に「やってみたい」と思わせることです。そのために、4つの項目を盛り込みます。ワードで作成すると、ついついページを増やしてしまいたくなるので、社内で指定がない場合、パワーポイントを使うことをお勧めします。
ページ内に4つのボックスを用意し、現在置かれている状況と課題、課題が解決したときに得られるメリット、そして課題を解決するための手段が1枚で理解できるように構成します。以降では、1ページ目の4つのボックスの使い方を紹介します。
「4つの項目」の(1)「企画の背景」の書き方
今回の企画の前提となる情報を、意思決定者と共有するパートですので、現在置かれている状況や環境を示す客観的な数値データが欠かせません。先の金型管理の例であれば、金型の交換にかかっている時間、それによって生じる機会損失の金額、クレームの発生件数などを示すことになります。
上位承認者になるに従い、現状について理解の浅い部分もありますので、そこを補完することで的確な判断を受けやすくなります。
客観的なデータ提示は、技術系男子の皆さまの得意とされるところですが、記載できるスペースの狭さには悩まれるかもしれません。このスペースだけで背景を伝えるために、どのような分析データを示すのが最も効果的か、意思決定者の関心事項を念頭に、厳選していきましょう。
「4つの項目」の(2)「課題と方向性」の書き方
「課題と方向性」では、企画の背景で示した情報を前提に、現在抱えている課題を示します。ポイントは課題が解決されないことで発生している「痛み」をどれだけ訴えられるか、という点です。現状を理解し、痛みを感じた意思決定者に「このままではいけない」と自ら思ってもらえるかどうかが肝要です。ここでは具体的な記載例を示しますので、書き方の参考にしていただければと思います。
「4つの項目」の(3)「達成目標」の書き方
「達成目標」では、今回の提案が通った場合に達成できると考える数値目標を定量的な目標として明示します。主な改善項目が設備の稼働時間や生産量であっても、可能な限り金額に換算して併記するように心掛けましょう。また、顧客満足度など今回の取り組みがプラスに働くのは間違いないものの、どの程度の影響度化は図れないといったものは、定性的な目標・効果として忘れずに記載するようにします。
「4つの項目」の(4)「施策内容」の書き方
1ページ目の最後のパートは施策の内容説明です。
この内容を見て、先の数値目標が達成できると感じてもらえるかどうかがポイントになります。簡潔に、実施のステップ案も含めて具体的な活動内容がイメージできるように記載するようにしましょう。
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