分かってもらうための社内稟議プレゼンは3ステップで:技術系男子のための企画&プレゼン講座(2)(1/3 ページ)
上司や役員に分かってもらうプレゼン作りにはコツがある! 思いを詰め込みすぎて失敗した経験のあるエンジニアは必見
QC活動、開発進ちょく報告……、社内稟議が下りないと仕事は進みません。設計・開発エンジニアにはモノづくりだけじゃなく社内プレゼンの能力も必須。なのにちまたのプレゼン本はエンジニア向けではないことがほとんど。本稿を読んでプレゼン力向上を目指そう(編集部)
皆さまこんにちは! 五葉コンサルティングの楊です。
前回の企画書編に続き、今回はパワーポイントを使用したプレゼン資料作成のコツを「プレゼン資料作成のABC」としてご紹介します。今回は、プレゼン資料はあまり作ったことがないモノづくりエンジニアの皆さんや、プレゼンに苦手意識をお持ちの技術系部門の皆さんにも、理解しやすく使いやすい、プレゼン資料作成の技法をお伝えしていきたいと思います。
プレゼン指南書は多々あれど……やっぱり苦手!
意思決定を促し、組織を動かすに当たって、プレゼンの出来・不出来がその判断を大きく左右するというのは、皆さん強く実感されていると思います。「ある日自分がプレゼンをすることとなり、成功のコツを学ぶために慌てて本屋へ走った」という話もよく聞きますが、プレゼン初心者ほど、ずらっと並ぶ多種多様なプレゼン指南の本に、どれを選べばいいか戸惑ってしまうことと思います。
効果的なプレゼンをするための方法として、近年注目されている技法としては、
- 画面いっぱいの大きな文字でキーワードだけ表示し、後は語りで補足する技法
- デザイナー的な美しいページを作成し、メッセージを強く印象的付ける技法
などがあります。
Appleのスティーブ・ジョブズ氏のプレゼンテーション
ジョブズ氏のプレゼンテーションは魅力的なプレゼンテーションの代表例としてよく取り上げられていますが、いきなりこうしたプレゼンテーションをすべての人ができるわけではありません。
ITmedia +Dモバイル2010年1月29日の記事「Appleイベント現地リポートまとめ(前編):iPadは本当に"安い"のか?――Appleスペシャルイベントを振り返る」より
ともに印象的で効果的な技法ではありますが、「人前で話すこと自体あまり得意ではないな」「スライドにない情報をその場で言葉にしていくのは、緊張しがちなので自信がないな」という方が少なくない技術系部門の皆さんには、活用しづらいように思います。また、多くの場合「お客さまへのご提案プレゼン」を前提とした技法が多いので、社内向けのプレゼンの機会が多い技術系部門の皆さまには、活用に少し工夫が必要になります。
そこで、ここでは「話し手にとって説明しやすく、聞き手にとって分かりやすく判断しやすい」を実現する、社内稟議向けのプレゼン資料作成のポイントをABCのステップでお伝えしていきたいと思います。
プレゼン作成のABCの「A」:プレゼンのゴールを明確にする
プレゼンの実施が決まると、これまであまりプレゼン経験のない方は、プレゼン日程への焦りや見栄えのいいものを作らなきゃ、というプレッシャーから、すぐにパワーポイントでの作業を始めてしまいがちです。
ぜひここは一呼吸おいて、作成作業に取り掛かる前に、今回のプレゼンの目的は何かを整理してみていただきたいと思います。
プレゼンの目的は、大きく分けると以下の3つに分類されます。
- 提案を受け入れてもらう
- 計画に対する進ちょくを報告する
- 経験やノウハウを伝達し、学習を促す
新技術の導入や課題解決に向けての取り組みなどについて上長の承認を得るために行うプレゼンなどは(1)になりますし、承認を受けて実施している改善活動や製品開発の進ちょく報告などを役員の前でプレゼンするというケースは(2)に当たります。
この場合には、進ちょく報告と合わせて、スケジュール変更への承認や新たに発生した課題に対する支援の要請なども含まれることがよくあります。そして、QC活動の発表会や社内講習会など、個人や特定のチームが持っている知識やノウハウを共有し、その学びを他部門でも生かしていくことを目的としたプレゼンは(3)になります。
企画のGoをもらう/調査のOKをもらうプレゼンは見せ方が違う
今回のプレゼンの目的が明確になったら、もう一段掘り下げて、何をもってこのプレゼンが成功といえるか(=プレゼンのゴールは何か)を考えてみましょう。
社長に対して企画のプレゼンを行う場合、「提案内容の実施を承認してもらう」が目的になるでしょう。例えば、このケースの成功の定義は「プレゼンの最後に、社長が『やってみよう』といってくれること」や、「社長に企画に対する実現可能性調査のステップが承認されること」などが考えられると思います。
このように考えていただければ、社長から「やってみよう」の言葉を引き出すためのプレゼン内容と、「実現可能性調査に対する承認」をもらうためのプレゼン内容が違ってくるのは、容易に想像ができると思います。その違いを感じられるのは、ゴールを考える過程で、自然にそのゴールに至るステップを頭の中で組み立てているからです。また同時に、そのゴールのためのキーマンは誰なのかも、自然に浮かんでいるはずです。このように、プレゼンのゴールの明確化を図ることで、次のステップのシナリオ作りがよりスムーズに行えるようになるのを実感いただけると思います。
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