検索
連載

例題で理解する「そもそもシックスシグマって何だっけ?」シックスシグマの落とし穴(1)(5/5 ページ)

シックスシグマは改善のための重要ワード。でも、どう導入すればいいのか、どう考えるかを理解していますか? 簡単な例題から確認を

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

つまり、シックスシグマのプロジェクト実行ステップとはこんなもの

 何となく、シックスシグマの進め方のイメージができるようになったでしょうか?

 イメージをもう少し固めていただくため、以降ではステップごとにさらに詳しく解説していきます。

Define(定義)とは

 ここでは、問題を整理し、なぜこれが重要なのか、最終的なゴールは何なのかを明らかにします。この時点で、「大して重要じゃないな」と感じたら、ほかの重要な問題に力を注いだ方が得策でしょう。すぐに解決に向けた行動を始めるのではなく、その重要性とゴール、大まかな期限を明らかにすることで、プロジェクトメンバーの一体感を生み出し、取り組みへのモチベーションを高める効果もあります。

Measure(測定)とは

 ここでは現在の能力やパフォーマンス、プロセスを明らかにし、「本当の現状」を明らかにします。「本当の」という言葉を使ったのは、多くの場合、見る人によって現状認識が異なっていることが多いためです。ここでの測定値は、今後の改善の効果を測るためにも使われていきますので、「何を測定すれば、最終目標が達成できたといえるのか?」について知恵を絞り、指標とその測り方を決めることが、このステップでは非常に重要になります。

Analyze(分析)とは

 シックスシグマの最大の山場が、このステップです。ここでは、根本原因を洗い出すために、さまざまな角度で分析を行っていきます。シックスシグマの考え方は、「目の前にある問題を1つずつつぶしていく」のではなく、「いろんな問題を生み出している、問題の根本原因を集中攻撃して、効率的に複数の問題を一気に解決しよう」というものですので、いかにこの根本原因にたどり着けるかが、改善策の成功を左右する、大切なポイントとなっています。

Improve(改善)とは

 ここでは、改善策の立案と、実際にそれが効果を生むかのトライアルが行われます。特定された根本原因に対して知恵を絞り、ブレインストーミングなどを使ってアイデアを出していきます。出されたアイデアに対して、費用対効果などの分析をし、詳細な導入計画へと落とし込んでいきます。それに基づいて作成される新しい業務フローや作業手順書を作成し、部分的な導入などで、その効果を検証します。

Control(定着)とは

 最後のステップでは、効果を継続していくための管理が行われていきます。「定期的に指標を測定し、基準を下回った場合、責任者が改善を図っていく」といった管理プロセスの導入がされ、改善のバトンがプロジェクトチームから、そのプロセスの責任者へ渡されます。また、広い意味では、このプロジェクトを通じて学んだ知恵や気付きを、社内へ蓄積する活動も、このステップに含まれています。

◇ ◇ ◇

 ここまで、シックスシグマの基本についてご紹介してきました。「シックスシグマって、こんな感じで進むのだな」というイメージは持っていただけましたでしょうか? 至って合理的で、導入しやすそうなこの方法論ですが、現実には思った効果が上がらなかった、というケースが数多く見られます。次回は、『反面教師』ともいえる失敗事例を参考に、つまずきがちな「落とし穴」について、見ていくことにしましょう。

⇒連載「シックスシグマの落とし穴」バックナンバー

筆者紹介

楊典子

五葉コンサルティング株式会社 代表取締役 楊 典子

 外資系コンサルティングファームにて大手自動車、機械、部品、消費財メーカーなど、多くの製造業のサプライチェーンマネジメント改革プロジェクトにて、コンサルティングに携わる。

 外資系医療機器メーカーにてシックスシグマを学び、業務プロセス改革、シックスシグマの展開、経営品質管理を行う。その後、五葉コンサルティング株式会社を設立し、代表取締役に就任。

【主な資格】物流技術管理士、SAP社SCM認定コンサルタント、シックスシグマグリーンベルト、アクションラーニングコーチ、中小企業診断士


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る