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品質改善プロジェクトに失敗は許されない品質改善の王道を行こう(1)(3/3 ページ)

モノづくり現場で発生している品質不良を改善し、不良率半減を目指そう。品質改善のツールはあくまでもツールであって、それに振り回されてはいけない。本連載は品質改善コンサルタントによる品質改善の王道を解説する。

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強力な推進体制 〜成功のポイント2〜

 成功確率を上げるポイントの2つ目は、慢性不良への取り組み体制です。現在の製造現場を作るために、先輩や同僚、後輩が一生懸命ガンバってきました。しかし、それは小集団活動や技術者個人の活動レベルではなかったでしょうか。

 一般的に、現場や技術スタッフの方々は、自分1人でできることは実行しますが、誰かに頼むのは苦手です。つい「ほかの人も忙しいから頼むのは申し訳ない」と考えがちで(いい出した人が貧乏くじを引いて、仕事を押し付けられることを恐れる面もよくあります)、自分で提案して組織を動かそうとしません。

 せいぜい課内や係内だけの取り組みに終始しがちなのです。それで慢性不良がなくなればいいのですが、慢性不良が発生している、つまり現状を打破できないのですから、課内や係内の取り組みだけでは力不足で限界に来ているのです。

 そこで、課や係の壁をぶち破って製造部門一丸となり、組織総合力を結集して慢性不良に立ち向かい、現状を打破しなければなりません。それには、縦割り組織に横串を通すような形で、各課選抜のメンバーでプロジェクト体制を構築するのが一番よいと思います。

 慢性不良対策のプロジェクト体制を構築しようと書くと、「え! そこまでやるの!?」とか、昔やった別のプロジェクトを思い出して「また仕事が増える」「やりたくないなぁ」などとネガティブなイメージを抱くかもしれません。

 というのも、自分をはじめとして、社内の多くの人はいままで「プロジェクトで失敗した」と思っていない(思いたくない)ながらも、実際にはうまくいかなくて困った経験をしているのです。

 一番多いのはプロジェクトの自然消滅です。掛け声を掛けた工場長や部長クラスが転勤したとか、さらに上の社長や事業部長クラスから別のプロジェクトを命じられたなどの理由で、うやむやのまま終わってしまうケースです。

 従って、一般的にプロジェクトは失敗の確率が高いのです。そのうえ、厳し過ぎる目標、無理な期間、無理な人員、周囲の協力が得られない中でのプロジェクトになるとさらに失敗の確率が高くなります。だからプロジェクトというと「またかよ〜」と思うのが正直なところでしょう。

 また、多くのマンパワーと費用を使うのですから、プロジェクトが失敗すると、会社の業績ばかりではなく、関係者に精神的・物理的なダメージを与えます。「失敗を個人のせいにしない」と会社はいいますが、関係者の評価は下がります。きつい目標を与えられた際、「目標を下回ってもいい」といわれることもありますが、結局、数値が独り歩きし、目標未達になると失敗したプロジェクトとレッテルを張られます。

 メンバーが体調や精神状態を崩すほど過酷な仕事をしながら、失敗したとなると組織やそこで働く人たちは確実にむしばまれるのです。だからこそ、プロジェクトは絶対に成功させなければなりません! そして、プロジェクトが成功すると、人と組織を成長させます。

 典型的なダメ組織で使われる言葉……。

  • なぜ、いままでできなかったんだ?
  • まだこれだけしかできないのか?
  • おまえ何年仕事をしてきたのか!
  • つまらんことをいうな! 常識だ!!
  • 知ったかぶりするな!
  • そんなことをやって、みんなヒマだな。
  • 何だ! この程度のことか!

 組織が成長すると使われる言葉が変わってきます。使う言葉はその企業の文化、社風を表すものです。

  • 分からないから調べてみよう!
  • それならこうすれば解決するよ!
  • なるほど、それなら良いかも。
  • できない理由は何もない。よし、やってみよう!
  • 最初からできないと考えない。できる理由を考えるのが、改善活動だ。

 そして、プロジェクトの成功体験が大きな自信となり、今後、より大きな目標にチャレンジしようという気持ちになります。

 プロジェクトの成否は、立ち上げ時のマネジメントで決まるといっても過言ではありません。私も立ち上げに一番気を使います。適切な目標、適度な期間、優秀なリーダー、専門家がそろったメンバー、組織の支援体制など、プロジェクトをいかに運営するかが重要になります。プロジェクトは前提条件や環境が毎回変わりますから、絶対に成功する方法というのは残念ながらありません。しかし、成功確率を高めるマネジメント・ノウハウはあります。

 次回は、プロジェクトを成功に導くマネジメント・ノウハウと品質改善の王道プログラムについて、順番に説明していきます。

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