品質改善プロジェクトに失敗は許されない:品質改善の王道を行こう(1)(2/3 ページ)
モノづくり現場で発生している品質不良を改善し、不良率半減を目指そう。品質改善のツールはあくまでもツールであって、それに振り回されてはいけない。本連載は品質改善コンサルタントによる品質改善の王道を解説する。
問題解決型QCストーリーの手順と内容を簡単に紹介します。
テーマ選定 改善に取り組むテーマを決めます
現状把握 テーマに関する現状の実態を把握します
目標設定 現状をどれだけ改善するか目標を決めます
活動計画の作成 活動メンバーや期限、大まかな手順を決めます
要因解析 問題を起こしている原因を追究します
対策検討 原因とその対策を検討します
対策実施 対策案を実行します
効果確認 対策の効果を検証します
標準化 効果の確認できた対策案を標準化し、再発防止します
今後の計画 未解決の問題や継続対策中の問題を整理し、今後の対策を立案します
品質改善の基本は「問題解決型QCストーリー」ですが、このとおり実践しても慢性不良の改善確率が低いのは確かです。そこで、成功確率を上げるポイントを2つ紹介します。
要因解析のアプローチ法 〜成功のポイント1〜
成功確率を上げるポイントの1つは、問題解決型QCストーリー「5. 要因解析」の細分化です。要因とは不良を引き起こす原因として可能性の高いもの、もしくは大きな影響を与えていると考えられるものです。
つまり、不良の主要な原因を要因といいます。要因さえ分かれば改善できたも同じです。ところが、一番重要な要因解析をどうするかは悩ましい問題です。多くの現場では、要因解析の手順が体系化できておらず、改善担当者のアイデアや経験で不良対策の成否が決まってしまいます。改善担当者の力量で不良を解決できればいいのですが、できなかったからこそ、慢性不良化して困っているのです。
そこで、要因解析を細分化して、不良に対してどのようにアプローチしたらよいかがポイントになってきます。要因解析のアプローチは、2つあります。「結果系のアプローチ」と「原因系のアプローチ」です。
結果系のアプローチ
結果系とは、工程の結果である中間製品や製品の品質特性を指します。品質特性とは、製品の出来栄え、すなわちお客さまが求めているものになります。
結果系のアプローチでは、品質特性のデータから不良の傾向を探る方法、すなわちデータ分析です。ただし、データ分析はあくまで「既知の要因」のみに有効です。過去の経験や技術ノウハウの結果、現在管理しているデータにすぎないからです。過去の経験や技術では抽出できない要因があるから、慢性不良が発生しているので、データ分析という既知の要因をいくら検討しても、未知の要因は出てきません。
そうはいっても、うまく技術伝承されていなかったり、管理条件が変わったりしているかもしれません。たくさんある管理条件をすべてきっちりと押さえておらず、モレ・ヌケがあるかもしれませんから、結果系のアプローチも重要です。
原因系のアプローチ
特に注力したいのは原因系のアプローチです。原因候補を洗い出して、絞り込んで原因を追究していきます。原因追究では、刑事が犯人探しをするように、現場観察をして手掛かりを探すことが重要になってきます。
真の原因は分かってしまえば、「なんだ。そんなことだったのか」というような、1つか少数個の組み合わせであることが多いです。
要因解析の概要については、ここまでにします。詳細は次回以降で書いていくことにして、次に2つ目のポイントを紹介しましょう。
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