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旭化成がAI活用のスマートラボ新設、半導体材料の実験数4倍に:研究開発の最前線

旭化成は、AI(人工知能)や自動化技術を活用し、材料開発の一連のプロセスを自律的に行うプラットフォーム「スマートラボラトリー」を開設する。同施設では、「パイメル」の多種原料の調合や、加工/性能評価の工程を自動化することで、開発実験数を従来の約4倍に拡大できる見込みだ。

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 旭化成は2026年11月5日、静岡県富士市の支社内に、AI(人工知能)や自動化技術を活用し、材料開発の一連のプロセスを自律的に行うプラットフォーム「スマートラボラトリー」を開設すると発表した。2027年1月から稼働予定で、半導体向け感光性絶縁材料「パイメル」の製品開発に活用する。

層間絶縁膜市場は足元で年平均約8%成長

 同社は、「中期経営計画2027 〜Trailblaze Together〜」において、パイメルなどの電子材料を含むエレクトロニクス事業をグループ全体の利益成長をけん引する「重点成長」事業の1つと位置付けている。

 また、層間絶縁膜市場は、足元で年平均約8%成長しており、2030年ごろまでこの勢いが続くと見込まれている。同社は、こうした需要拡大に応えるため、パイメルの生産能力拡大を進めている。

 一方、生成AIの普及を背景とした先端半導体の技術革新に伴い、顧客から求められる性能水準や複数性能を両立する難易度が上がってきている。その結果、検討すべき原料の組み合わせや実験条件/評価項目が増え、材料開発プロセスが複雑化している。

 こうした中で、顧客の次世代ニーズを先回りし、従来の延長線上ではない新たな材料を生み出し続けるには、研究者の経験や発想による開発手法からさらに一歩踏み出し、膨大な可能性を広く、かつ効率的に探索する新しい開発の在り方に進化させる必要性があると同社は考えた。そこで、スマートラボラトリーの開設を決めた。

同社のスマートラボラトリー概念図
同社のスマートラボラトリー概念図[クリックで拡大] 出所:旭化成

実験と学習のサイクルを自律的に繰り返し、開発実験数を拡大

 現在世界で進む自律実験は、対象とする材料が限定されているものや、開発プロセスの一部工程のみを対象としたもの、学術的な実証にとどまるものが多く、開発プロセス全体に適用されている例は限られている。

 これに対し、同社のスマートラボラトリーは、一部の工程にとどまらず、「材料設計から実験、評価、学習」のサイクルを通じて、施設全体を1つの実験システムとして自律的に運用できることが特長だ。実験計画、スケジューリングから、原料の調合、試料作製、顧客の半導体パッケージ製造工程を想定した加工/評価までを自動で行う。得られた実験結果と評価データは、再び学習/解析され、次の組成や実験条件の提案へとつながる。この実験と学習のサイクルを自律的に繰り返すことで、開発実験数(一定期間に検討できる組成数)を拡大できる。

 加えて、マテリアルズインフォマティクス(MI)による材料探索では、実験データの量や蓄積が予測精度を高める上で重要となる。同社は、パイメルの開発を通じて蓄積した膨大な実験データをMIで活用できるデータ基盤を整備してきた。こうしたデータ基盤に新たな実験から得られるデータを加えて公知データとともに学習し、研究者の知見、シミュレーション、理論科学と掛け合わせることで、従来の常識では見過ごされてきた新たな組成を探索する。その周辺の組成や条件を重点的に検証し、繰り返し学習することで予測精度を高める。

 スマートラボラトリーの活用により、パイメルの材料開発は、スピードが向上する他、開発実験数(一定期間に検討できる組成数)を従来の約4倍へと拡大し、材料候補をより幅広く検証できるようになる。そのため、微細加工性と形状安定性、高信頼性と高解像度化など複数の性能を高いレベルで満たす新たな有望材料の発見など、ブレークスルーにつながるという。

 スマートラボラトリーを運用したパイメルの研究開発を通じて、自律実験システムに関する技術やノウハウを蓄積し、同社が手掛ける他の電子材料事業へ展開し、さらに将来的には、マテリアル領域の他の製品への活用拡大を検討していく。今後は、研究者とAIとの対話により開発目標を実現するプロセスを磨くことで、新たな技術開発の可能性を追求する。

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