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プラントの平均稼働率90%以上を目指す、出光興産のAIエージェント活用術:人工知能ニュース(1/4 ページ)

製造業が直面するデータのサイロ化や属人化。この課題に出光興産はどう立ち向かっているのか。同社はプラント稼働率90%以上という高い目標を掲げ、各業務に特化した「AIエージェント」の実装を進めている。今回は、データの統合から現場へのAIエージェント活用の定着、AIエージェントを統率する「AI Orchestrator」の展望などを紹介する。

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 Cogniteは2026年9月17日、東京都内で、年次イベント「Impact World Tour Tokyo 2026」を開催した。

 同イベントから、出光興産 執行理事 生産技術センター長の鳳城延佳氏が行った講演「出光興産のDX/AI戦略-AI実装への挑戦-」の一部を抜粋して紹介する。

主力事業は燃料油、基礎化学品、高機能材の事業など

 1911年に創業した出光興産は、2026年3月期(2025年度通期)の連結決算における当期純利益は1719億円(前期比65.2%増)で、連結従業員数は約1万4000人だ。主力事業は、燃料油、基礎化学品、高機能材、電力/再生可能エネルギー、資源の事業としている。

 燃料油事業における原油処理能力は1日当たり93.1万バレルで、国内燃料油の販売量は年間3300万kLだ。サービスステーション(ガソリンスタンド)の数は6000カ所で、国内シェアの約20%を占めている。

 基礎化学品事業におけるエチレン生産能力は年間100万トン(t)で、パラキシレン生産能力は年間84万t、スチレンモノマー生産能力は年間79万tとなっている。

 高機能材事業における潤滑油販売量は年間110万kLで、エンジニアリングプラスチックの販売数量は年間20万t、有機エレクトロルミネッセンス(EL)の生産能力は年間26tだ。

 近年は、電力や資源の事業にも注力し、発電や再生可能エネルギーの創出、原油やガスの生産を行っている。

DXの推進役となる生産技術センター

 鳳城氏が所属する生産技術センターは、同社の製油所や事業所にとどまらず、関連会社の製油所、台湾、ベトナム、マレーシアといった海外プラントにおいて生産技術の支援も行っている。

 234人の従業員が所属している同センターは、DX(デジタルトランスフォーメーション)とAI(人工知能)の推進に加えて、プラントの高度な制御やシステム技術の集約と高度化を進める「システム高度化技術室」を備えている。プロセス技術の開発や量産技術、品質技術の検証を行う設備も有しており、各拠点の生産システムを支える拠点として機能している。

目標はプラントの平均稼働率90%以上

 同社のDX/AI戦略ではまず、DX/AX(AIトランスフォーメーション)基盤を整備した。DX/AX基盤の整備では、「データ」「システム」「人財」に向けた取り組みを行った。

 「データ」では、ビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)の情報や全社データの構造化や一元化を実施した他、人財スキルや思考行動特性を可視化した。「システム」では、データ基盤をAI活用統合基盤にしたことに加えて、データガバナンスとサイバーセキュリティを強化。「人財」では、DXエキスパート人財を450人育成するとともに、事業部門とIT部門の人材交流を促進した。

 DX/AX基盤を整備した後、DXとAIにより中計戦略を加速している。具体的には、データとAI活用による事業の判断および実行を行う「データ基盤経営」や、AIエージェントによるプロセスの再設計と自動化を実施する「業務プロセス改革」を柱にして、さまざまな取り組みを進めている。

 「データ基盤経営」では、出光グループ全体での顧客データ利活用によるマーケティングの最適化と顧客価値最大化を行っている。事業や人財のデータに基づき、人財の適材適所と育成も実施。市場や技術、競合のデータも戦略的に活用している。

 「業務プロセス改革」では、マテリアルズインフォマティクス(MI)とAIを活用した材料開発や環境変化に即応可能なサプライチェーンマネジメントの実現、AI予兆管理などを通じた安心/安全な操業と収益最大化、標準業務のAI置き換えと高付加価値業務への人財アロケートを行っている。

 DXとAIによる中計戦略の加速では、継続的な取り組みとして、プロセス安全マネジメントの現場浸透強化や教育研修強化による人財育成深化、損益要因見直しと重要設備レビューによる信頼性向上を進めている。

 DXとAIの加速化および高度化の施策として、「デジタル技術活用の推進」「稼働率向上の投資」「現場力の強化」「本社/事務所のタテヨコ連携」を推進している。

出光興産 執行理事 生産技術センター長の鳳城延佳氏
出光興産 執行理事 生産技術センター長の鳳城延佳氏

 「デジタル技術活用の推進」では、自社開発保全業務支援システムやAIエージェントにより業務の高度化と効率化を行っている。「稼働率向上の投資」では、トラブルの抑制と発生時の機会損失抑制に向けた投資や、確実なメンテナンスの実施を目的とした協力会社とのパートナーシップを強化。「現場力の強化」では、リスク感度向上や育成機会充実のための人員体制構築、技術継承を促す環境づくりも推進している。「本社/事務所のタテヨコ連携」では、本社専任チームによるベストプラクティスの横展開を推進している。

 鳳城氏は「2023〜2025年度における当社のプラントの平均稼働率(定期修繕を含まない)は86%だった。これらの施策により、プラントの平均稼働率を90%以上とすることを目指す」と話す。

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