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AIカメラで「最後の砦は人」を脱却、レンゴーとキリンビールの工場安全DX:ファクトリーイノベーション Week2026【秋】(3/3 ページ)

「ファクトリーイノベーションWeeK2026秋」において、特別講演「【工場の安全対策】AI/デジタルICTで従業員の安全を守るには」が行われ、レンゴーとキリンビールが登壇した。AIやIoT、ウェアラブル機器などを活用した安全対策に関する両社の講演を抜粋して紹介する。

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400台のカメラ、2035年には夜間/休日の無人製造へ

 工場の「目」となるカメラも大量に導入した。「カメラ台数の多い工場では400台のカメラを導入している」(宮浦氏)。

 従来は現場まで出向いて確認していた設備の稼働状況を遠隔で把握できるほか、トラブル発生時には録画映像から原因を追跡できる。PLCとも連携し、異常アラーム発生時の映像にフラグを立てることも可能だ。

 さらにキリンビールが描くのが、オペレーションそのものの無人化だ。

「生産領域では2035年には、夜間や休日は無人で製造できているという将来図を描いている」(宮浦氏)

 北海道千歳工場では、四足歩行ロボットに360度カメラや集音マイクを搭載して点検作業を検証。取得した情報をクラウド上のAIで解析することで、人が行ってきた点検を代替できることを確認した。

「人では気付けなかったような周波数帯も集音マイクで気付くことができ、人の点検よりさらに精度の高い点検が実現できるという評価結果も出ている」(宮浦直人氏)

 一方で、階段の幅や高さ、扉の開閉など、ロボットを導入するために設備や建屋側の改修が必要になるという課題も見えてきた。高所や配管上部などについてはドローンを活用し、複数の技術で人の点検作業を代替していく。

ウェアラブルやAIで「人を危険から遠ざける」

 安全面では、ウェアラブル機器による熱中症対策を約半数の工場で展開している。

「メンバー自身が無理をして働いている状況でも、ウェアラブルで数値化された情報がリーダーに届く。体調管理を厳密にできる仕組みを目指したものだ」(宮浦氏)

 ネットワークカメラと画像認識AIを組み合わせ、作業者がヘルメットや保護メガネを着用しているかを自動判定する取り組みも進める。さらにセンサーによる予兆保全やドローンによる高所点検は、危険な場所で人が作業する機会そのものを減らすことにつながる。

「狭い場所や危険な高所での作業も、ICTツールで代替することで危険のリスク自体を低下させていく」(宮浦氏)

 熟練者の退職によって失われかねない安全ノウハウについても、AIチャットbotなどを活用し、作業前のKY(危険予知活動)に生かす仕組みを開発している。

 レンゴーとキリンビールでは取り組みの規模やアプローチは異なる。しかし共通するのは、人の注意力や経験だけに安全を委ねるのではなく、AI、カメラ、センサー、ウェアラブル、ロボットなどを組み合わせ、「人がミスをする」ことまで前提とした製造現場を構築しようとしている点だ。

 AIやICTは人に取って代わる万能の安全装置ではない。人を補い、時には人を危険な作業そのものから遠ざける。両社の取り組みからは、そんな製造現場の安全対策の方向性が見えてくる。

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