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日本の技術はどこから漏れてしまうのか 企業が注視すべき「技術流出リスク」:製造マネジメント インタビュー(3/3 ページ)

近年、日本の製造業を取り巻く環境は急速に変化しており、技術流出対策がかつてないほど重大な経営課題として浮上している。そこで本稿では、会計監査で培ったリスクや内部統制のナレッジを生かして、企業のコンプライアンスやガバナンス、内部監査/統制、リスク管理などに関するアドバイスを行っているPwC Japan有限責任監査法人のアドバイザーに、製造業が直面する技術流出リスクの実態や、企業が取り組むべき具体的な対策などについて話を聞いた。

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技術情報流出防止に向けた構築ステップ


PwC Japan有限責任監査法人の西田昂生氏

 では、企業は具体的にどのようなステップで技術流出対策を進めるべきなのだろうか。最初に着手すべき最も重要なプロセスは、自社が守るべき「コア技術の特定」と「技術情報の洗い出し/棚卸し」だ。守るべき対象が曖昧なままセキュリティツールを導入したりルールを厳格化したりしても、実効性のある対策とはならない。まず自社の競争優位性を生み出している源泉が何であるかを再定義し、その技術がどのような「情報(設計書、データ、手順書など)」として、社内の「どこに」「誰のアクセス権限の下で」保存されているかを洗い出す必要がある。

 製造業における技術情報は多岐にわたるため、体系的に整理して捉えることが有効だ。技術の要素は主に、「材料や素材に関する技術」「製造/加工プロセスの技術」「評価/テスト/シミュレーションの技術」「品質/解析技術」の4つに分類でき、どの技術をどのように管理していくのかを可視化することが重要である。

 棚卸しによって特定された情報に対しては、次に「リスク評価」を実施する。全ての情報を一律に最高レベルで厳重管理しようとすると、膨大な管理コストが発生する上、現場の業務効率や開発のスピードが低下してしまう恐れがある。そのため、情報の重要度と被攻撃/流出リスクの高さに応じた「リスク評価(リスクベースド・アプローチ)」を採用し、管理レベルにメリハリをつけることが不可欠である。

 リスク評価を行う際の基準としては、不正競争防止法上の「営業秘密の3要件(秘密管理性/有用性/非公知性)」に照らし合わせる、または経済産業省の技術流出対策ガイドラインが提示する視点である「競合に対する優位性の高さ」「他社による代替や模倣の困難さ」「将来の事業成長への貢献度」「流出した際の影響度の大きさ」などの軸を用いて評価を行う。これらの基準に基づいて情報を分類し、真に防衛すべきコアとなる情報に対して重点的にリソースを投下する戦略が求められる。


技術流出防止に向けた構築ステップ[クリックで拡大] 出所:PwC Japan有限責任監査法人

 西田氏は「個人的には、守るべき技術を特定して評価/管理体制を構築した後に、それを組織の隅々まで『浸透』させることも非常に大事だと思っている。本社の考えを海外拠点のトップや現場の現地採用スタッフにしっかり認識してもらって初めて、組織としての網の目が整う」と語る。

 雨宮氏は「海外子会社のCEO、特に現地の方だと本社の取り組みに対してコストや手間が掛かるため素直に従ってくれないこともある。そのため、インセンティブや評価(KPI)につながる仕組みを用意する必要がある。また、統制をかけすぎると業務に支障が出てしまうため、『リスクを取るか、それとも統制を取るか』という判断基準を正しく伝え、理解してもらうコミュニケーションが非常に重要となる」と述べた。

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