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国内企業のDXは“日進月歩”せず後退気味に 「2025年の崖」は越えられない?製造ITニュース(1/2 ページ)

PwCコンサルティングは、「2025年DX意識調査−ITモダナイゼーション編」の結果について説明した。生成AIやクラウド技術などは“日進月歩”で進化を続ける中、国内企業のDX成果に関しては大きな変化が見られなかった。

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 PwCコンサルティングは2025年12月11日、東京都内でメディアセミナーを開催し、「2025年DX意識調査−ITモダナイゼーション編」の結果について説明した。生成AI(人工知能)やクラウド技術などは“日進月歩”で進化を続ける中、国内企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)成果に関しては後退気味で、経済産業省が「DXレポート(2018年)」で警鐘を鳴らした「2025年の崖」を越えられない可能性が高い。

 PwCコンサルティングが実施しているDX意識調査は2021年から開始し、今回で5回目の調査である。調査対象は売上高500億円以上のITモダナイゼーションに関与している企業/組織の課長級以上500人であり、2025年6月にWeb上でアンケート調査を実施した。

 回答者の業界内訳は製造業が24%と一番高く、その後にテクノロジーが9%、金融(銀行/証券)が7%、商社が6%と続いている。回答者の所属部門の内訳は、事業部が34%と一番高く、その次にIT/デジタル推進が32%、コーポレートが18%、経営企画が14%と続いている。

2025年DX意識調査の概要
2025年DX意識調査の概要[クリックして拡大]出所:PwCコンサルティング

 同社のDX調査におけるITモダナイゼーションの成熟度については、「アジャイル開発手法の活用」「パブリッククラウドの活用」「クラウドネイティブ技術の活用」の3つの観点で質問を実施し、それらの活用状況に応じて成熟度を分類している。3つの項目全てを全社的に活用していれば「先進」、3つの項目について一部ではあるが本番環境で活用していれば「準先進」、先進と準先進以外を「その他」と分けている。

DX意識調査におけるITモダナイゼーションの成熟度の定義
DX意識調査におけるITモダナイゼーションの成熟度の定義[クリックして拡大]出所:PwCコンサルティング

 2025年の調査結果によると、ITモダナイゼーション成熟度は先進と準先進が共に前年比で1ポイント減と微減しており、逆にその他の比率は2023年と比較して5ポイント増加している。DX成果に関しても全体で微減しており、先進と準先進については2023年以降DXの進化が見られず、むしろ後退しているのが現状である。

2025年のITモダナイゼーション成熟度の結果(左)と2025年のDX成果に関する結果(右)[クリックして拡大]出所:PwCコンサルティング

PwC コンサルティングの中山裕之氏

 PwCコンサルティング 執行役員 パートナー インダストリアルトランスフォーメーション事業部の中山裕之氏は「今回の調査で最も残念だったのは、デジタル人材の育成に関しての質問で、『期待通り、もしくは期待以上の成果が出ている』と回答した割合が全体で15%しかなく、変化があまり見られなかったことである」と語る。前回と比べると全体で2ポイントしか増加しなかった。先進では人材育成の成果が出ているが、準先進とその他で人材育成に苦戦している状況も過去3年間で変わっていない。


2025年のデジタル人材育成についての結果[クリックして拡大]出所:PwCコンサルティング

 PwCコンサルティングの他チームで実施した生成AIに関する実態調査では、社内で生成AIを活用中または社外に生成AIサービスを提供中と回答した層について、前回調査から13ポイント増加しているという。中山氏は「生成AIの活用は盛り上がっているが、実際のDXによる成果や人材育成につながっていない。この生成AIブームをうまくDXや人材育成に生かしてほしいところだ」と述べる。


PwC Japanグループが実施した生成AIに関する実態調査の結果[クリックして拡大]出所:PwCコンサルティング

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