抗うつ薬にヒトの10倍以上反応する魚類の受容体を特定:医療技術ニュース
東京理科大学らは、メダカとアユのモノアミントランスポーター遺伝子を解析し、ヒト用に開発された抗うつ薬に対して、魚類のセロトニントランスポーターが著しく高い感受性を示すことを明らかにした。
東京理科大学は2026年9月9日、高知大学と共同で、メダカとアユの脳から抗うつ薬の標的となるモノアミントランスポーター(MAT)遺伝子を単離して解析し、ヒト用に開発された抗うつ薬に対してヒトよりも非常に高い感受性を示す魚類のセロトニントランスポーター(SERT)が存在することを明らかにしたと発表した。
セロトニンやドーパミンなどのモノアミンは、幅広い動物で神経伝達物質として機能している。抗うつ薬は、主にこれらの神経伝達物質を細胞内に回収するモノアミントランスポーターを阻害することで薬効を示す。
研究グループは、メダカとアユの脳からセロトニントランスポーター(SERTaとSERTb)、ドーパミントランスポーター(DAT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)の遺伝子を単離した。ヒトのセロトニントランスポーターは1種類だが、魚類では2種類存在することが明らかとなった。
ヒトSERTの配列に近い魚類のSERTaは、ヒトのSERTと比較して抗うつ薬に対し一貫して著しく高い感受性を示した。一部の抗うつ薬では、魚類のSERTaを50%阻害するのに必要な濃度(IC50値)がヒトの10分の1以下となった。さらに、ミルタザピンやクエチアピンなど、ヒトではMATを主な標的としない医薬品についても、魚類のMATに対して阻害効果を示した。
ヒトが使用した抗うつ薬などの医薬品は、下水処理で完全に除去されず河川へ流出するため、水生生物の行動や生理機能への影響が懸念されている。今回の研究で得られたIC50値には、深刻な環境汚染が報告されている水域での医薬品濃度と重複するものがあった。哺乳類のデータのみに依存した環境リスク評価は水生生態系への影響を過小評価する危険性があり、同成果はより保護的な水質ガイドラインを策定するための科学的基盤となる。
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